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分譲マンションで防音工事を行う場合の注意点について

マンションなどの集合住宅で生活をする方が増えている近年では、足音や人の話し声、家電製品の音など、ちょっとした生活音を原因とした騒音トラブルが増えていると言われています。集合住宅は、戸建てとは異なり、各家庭の生活空間が構造物でつながっていますし、非常に近い位置でライフスタイルが異なる人が生活しているので、騒音トラブルの発生リスクはかなり高くなります。実際に、ピアノやドラムなど、生活音とは比較にならないほど大きな音が生じる楽器の演奏に関しては、何の防音対策もなければ、ほぼ確実に苦情を言われてしまうと考えておいた方が良いです。

こういった背景から、近年では、分譲マンションで生活をしている方から、防音に関するご相談を受けることが多くなっています。防音工事は、既存の壁や床を一度解体して作り直すといった工程があるため、マンションなどの集合住宅では難しいと考えている方も意外に多いです。ただ、こういった不安を抱えている方がいれば、安心して弊社にご相談ください。防音工事は、戸建てでしかできない対策があるのも事実ですが、集合住宅の居室に対して対策を施すことも問題なく可能です。

ただ、マンションでの防音工事は、戸建て住宅での工事とは勝手が異なる部分があるのも事実ですので、当記事で、マンション防音工事の注意点をご紹介します。

マンションでもさまざまな防音手法が存在する!

冒頭でご紹介したように、戸建て住宅と異なり、マンションなどの集合住宅は、本格的な防音工事が難しいと考えている方が少なくありません。詳しくは次項で紹介しますが、防音工事が難しい集合住宅が存在するのも事実ではあるのですが、現在では技術が進化している、建材が高性能化しているなどと言った理由もあり、マンションでも高性能な防音工事は可能です。

そこでここでは、マンションなどの集合住宅に住んでいる方が、何らかの音の問題を抱えた際、その問題を解消するための防音手法について解説します。なお、大まかに分けると、3つの手法が存在しますので、それぞれの特徴をご紹介します。

①部分的に防音工事を施す

防音工事と聞くと、「業者に依頼して、防音室を作る」工事をイメージする方が多いです。確かに、一昔前までの防音工事は、自宅で楽器の演奏を考えているという方やホームシアターの設置を検討している方など、大きな音を生じさせても近隣の方に迷惑を掛けないよう、高性能な防音室を作るというのが、一般住宅での主な防音工事の相談だったのは事実です。

しかし、マンションなどの集合住宅での音の悩みというのは、「上の階の足音がうるさい」「お隣のTVの音がうるさい」「目の前の公園で遊ぶ子供の声がうるさい」など、生活音が原因となるものも多いです。そして、こういった生活音を軽減するための防音工事として、防音室を作るという対策は、明らかにオーバースペックで、無駄なお金がかかってしまうことになります。防音工事は、お客様が抱えている問題を、必要最小限のコストで解決するための工事なのですから、何でもかんでも防音室を作れば良いというものではありません。

上の階の足音が問題であれば、天井の防音工事を行えば良いだけですし、外からの騒音の侵入は窓や換気口に防音対策を施すことで、悩みの種となっている音を軽減することが可能です。防音工事と聞くと、どうしても防音室を作る工事をイメージしてしまいますが、部分的な防音対策も可能だということを覚えておきましょう。

②防音室を作る

マンションなどの集合住宅でも、既存の部屋を丸々防音室に作り替えるという防音工事は、技術的に可能です。これが皆さんがイメージする防音工事で、簡単に言うと、壁や床、天井など、全ての部分について、高い防音性を発揮するようにリフォームするという工事になります。例えば、既存の壁を一度解体し、壁の中に吸音材や遮音材などの防音材を設置し防音性を高めるといった方法や、振動音が外部に伝わらないようにするため二重床にする、浮き天井にするといった工事です。床や天井が二重構造になることから、防音室は「部屋の中に部屋を作る」と言った表現を良くされますね。

防音室を作るまでの工事となると、マンションでも、ピアノやギター、トランペットなどの楽器の演奏をしたいという場合や、ホームシアターを設置して映画館さながらの映像を楽しみたいという方が行います。

③ユニット型防音室を設置する

3つ目の方法は、大手楽器メーカーさんが販売しているユニット型防音室を購入し、それを部屋の中に設置するという方法になります。ヤマハさんであれば「アビテックス」、カワイさんであれば「ナサール」というユニット型防音室のシリーズを出しています。

ユニット型防音室は、高い防音性能をもったプレハブ小屋を部屋の中に設置するというイメージです。防音室の広さや防音性能などによって販売価格は大きく異なり、安い物であれば、本体価格は50万円ほどで手に入れられると思います。ユニット型防音室は、マンションの管理規約などで、一室まるまる防音室に作り替えるといった工事が禁止されている、フルリフォームで防音室を作るほどのコストがかけられないという方が選ぶ感じです。

ユニット型防音室の注意点は、防音室の性能や規格が決まっているので、室内の音響環境を自分の好みに合わせることが難しいとう点や皆さんが考えている以上に狭いので、圧迫感を感じてしまい長時間防音室内で過ごすのが難しいと言われている点です。なお、ユニット型防音室は、低コスト・短工期で設置できるという点は、フルリフォームにはないメリットです。

マンション防音工事の注意点

それでは、本題のマンションなどの集合住宅に住んでいる方が防音工事を検討した場合、おさえておくべき注意点をご紹介します。なお、集合住宅の中でも、賃貸物件に住んでいる方であれば、いくら音の悩みを抱えているとはいえ、上で紹介しているような本格的な防音工事は難しいと考えておいた方が良いです。賃貸物件は、住人の持ち物ではなく、オーナー様の持ち物ですので、住人がお金を出すといっても、本格的な防音工事は認めてもらえない場合がほとんどです。これは、防音工事をして、居室の性能が高くなった場合、他の部屋との家賃の整合性がとれなくなってしまう点が大きな要因でしょう。ちなみに、コロナ禍以降、防音性に注目して物件探しをする人が増えていることから、空室対策のために物件オーナー様から防音工事の依頼が増えています。したがって、賃貸物件に住んでいる方が音の悩みを抱えたのであれば、防音性の高い部屋を探し引っ越しするのがオススメです。

以下で紹介するポイントは、主に分譲マンションに住んでいる方に向けたものとなります。

①マンションの管理規約に注意!

分譲マンションは、住人さんが購入しているわけですので、居室のリフォームなどは自由にできると考えている方が多いと思います。しかし、マンションでのリフォームは、戸建てとは異なり、管理規約で制限されている場合も少なくないので注意しましょう。いくら防音工事業者が技術的にあなたの要望を実現できるといっても、マンションの管理規約で禁止されている手法であれば、別のトラブル要因になってしまうリスクがあります。

「なぜ、住人が高いお金を出して購入した部屋なのに管理規約でルールが設けられるの?」と不満に感じてしまう方がいると思いますが、不特定多数の方が同じ建物内で生活する集合住宅は、何でもかんでも自由にしても良いわけではないのです。例えば、防音工事のような本格的な工事を行う場合、工事材料の搬入で共用の廊下やエレベーターを利用することになります。さらに、工事中は、大きな音が生じる工程もありますので、近隣の方に少なくない迷惑を掛けてしまいます。こういった事情から、「全ての住人が快適に生活できるように!」ということを考えて、分譲マンションなどでは住人間のトラブルを防止するため、管理規約としてルールが設けられています。

したがって、分譲マンションに住んでいる方が、防音工事を考えた時には、まず最初に「防音工事が可能なのか?」を管理規約で確認してみましょう。管理規約を見ても分からない場合には、管理会社に連絡し「どういったことまで認められているのか?」を確認すると良いでしょう。なお、注意しておきたいのは、「楽器の演奏」が目的で防音工事を検討している場合、防音工事が可能かどうかではなく、「そもそも楽器の演奏が認められているのか?」も確認しておきましょう。最近では、防音工事を行ったとしても、楽器の演奏自体を禁止している物件が登場していますので、こういったルールを知らずに防音工事をしてしまうと、リフォームにかけた費用が全て無駄になってしまいます。

②管理規約的にOKでも実現できない性能がある

マンションなどの集合住宅では、管理規約などで防音工事が認められていたとしても、技術的にお客様の要望に応えられない可能性があると考えておきましょう。

例えば、マンションの2階以上に住んでいる方が、生ドラムの演奏まで可能な、バンド用防音室を作りたいと考えたとしても、基本的に業者側に断られてしまうでしょう。ドラム用の防音室は、単に空気音の対策を施せば良いといった簡単な防音対策ではなく、床を伝わる振動音をシャットアウトする対策が重要になります。しかし、マンションの構造によっては、浮き床構造にすることが難しく、バンド演奏に耐えられるような性能を発揮することが難しい場合があるわけです。他にも、高性能な防音室を作る場合、「部屋の中に部屋を作る」ようなものですので、非常に重量のある部屋に仕上がってしまいます。つまり、耐荷重の問題から、2階以上では高性能な防音室の実現が難しくなるのです。この問題に関しては、分譲マンションの1階に住んでいる方であれば、特に気にしなくても構いません。

まとめ

今回は、マンションなどの集合住宅で防音工事を行う場合の注意点について解説しました。現在では、技術の発展や建材の高性能化により、マンションなどの集合住宅でも、戸建てと同レベルの防音工事は問題なく実行できるようになっています。したがって、ほとんどの音の問題に関しては、防音工事さえ行えば解消することができると考えて間違いありません。

ただし、集合住宅は、多くのご家族がトラブルなく快適に生活していけるように、物件ごとのルールが管理規約として設けられています。そして、その管理規約の中には、防音工事などのリフォームに関するルールや、生活上の音の出し方などについて触れられているのです。上述したように、どのような建築物でも、技術的には高い防音性能を実現する工事は可能なのですが、物件のルール上、禁止されていて工事ができない…などと言ったケースもあるので、防音工事を考えた時には、まず最初に管理規約を確認しておきましょう。

なお、管理規約を見ても防音に関する部分の内容が良く分からない…という場合は、お気軽のご連絡ください。お客様の代理として、弊社が管理会社に確認をし、工事が可能かどうかを判断いたします。