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近所の犬の鳴き声がうるさい!ペット騒音に悩んだ場合の対処法

日常生活の中で感じる騒音の代表と言えば、近所の方が飼っている犬や猫など、ペットが生じさせる騒音です。特に現在では、マンションなどの集合住宅で生活する方が増えており、各家庭の生活空間が非常に近くなっていることから、夜中に犬の鳴き声や足音に悩まされて睡眠障害を発症してしまう…と言った問題が増えているようです。

さらに、新型コロナウイルス問題で、在宅時間が伸びてからは、新たにペットを飼い始める方が急増していると言われていて、2020年以降、犬や猫が生じさせる音による騒音トラブルが増加傾向にあります。それでは、こういったペットが生じさせる騒音については、被害を受けている側が我慢しなければならないものなのでしょうか?

犬や猫などのペットは、人間が口で言い聞かせても完全に行動を制限することができませんし、四六時中騒音を出しているわけでもないので、「どこに苦情を言えば良いのか分からない」「そもそもペットの騒音に関する規制などはあるのか?」と言った点に疑問を感じる方が多いようです。
そこで当記事では、「近所の犬の鳴き声がうるさい!」など、ペット騒音に悩んだ場合の対処法や、こういったペット騒音を取り巻く法的な規制について解説します。

犬の鳴き声に関する法律的な規制はあるのか?

それではまず、自宅で犬や猫など、ペットを飼育している方が、ペットによる騒音で近隣住人に迷惑を掛けないようするための、法律的な取り決めがあるのかについてみていきましょう。

「犬の無駄吠えは飼い主が何とかしなければいけないでしょ!」と誰もが考えるものですが、これはあくまでも『モラル』の話ですので、これができなかったからと罰則を与えることなどできません。ただ、ペットの飼育に関して、法律で何の取り決めもないのか…というとそうではないので、ここで簡単にご紹介してみます。

動物愛護管理法による規定

日本では、動物に関する法律として「動物の愛護及び管理に関する法律(通称:動物愛護管理法)」というものが制定されています。そして、この法律の第7条1項では以下のように定められています。

動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者として動物の愛護及び管理に関する責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない。
引用:e-Gov

これからも分かるように、動物愛護管理法では、飼い主側が「人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない」と定めています。

例えば、飼育している犬が、頻繁に吠えてその鳴き声がうるさかったり、深夜になっても鳴きやまないなどとなれば、近隣に住む方の生活環境の保全に関して、支障を生じさせ、迷惑を掛けることになります。つまり、動物愛護管理法の規定に従えば、このような状況を引き起こさないため、犬を鳴きやませて静かにさせるよう努力する義務があると考えられます、

ただ、この条項は、あくまでも「飼い主の努力義務」を定めているもので、これに反したからと罰則が設けられているわけではありません。

同法律では犬の鳴き声を取り締まることができない

動物愛護管理法では、飼い主の努力義務に関する規定は設けられています。ただ、この規定は、飼い主が犬を静かにさせようと「努力した」のであれば、法律に違反していないことになります。さらに、上述しているように、動物愛護管理法7条1項に規定する努力義務を果たさず、うるさい犬を放置していたとしても、法律上の罰則は特に設けられていないのが現状です。

さらに、自治体ごとに定められている「迷惑防止条例」についても、犬の鳴き声に関する騒音を放置する行為については、直接的に取り締まるような規定が現在のところ存在していません。つまり、近所の犬の鳴き声に悩んでいる場合で、その飼い主が鳴き声を放置するような迷惑行為を行った場合でも、これに対して刑事手続きによる制裁を加えることが難しいのが実情です。

犬の鳴き声に悩んだ時の対処法は?

ここまでの説明で分かるように、現在の日本の法律では「犬の鳴き声がうるさい」と言った騒音に対する罰則付きの規定などは設けられていません。ただ、そうはいっても騒音をずっと我慢しなければならないというわけではありません。

ここでは、実際に「犬の鳴き声がうるさい!」と言った騒音問題が、自分の身に起きた時の対処法をご紹介します。

飼い主に騒音で迷惑をしている事実を伝える

騒音問題でありがちなのは、騒音源になっている方が「自分が騒音を出していることに気付いていない」という状況です。他人にとっては騒音以外の何物でもない犬の鳴き声ですが、飼い主にとっては可愛い自分のペットの鳴き声ですので、気にも留めないという方が一定数いるのです。

したがって、深夜まで犬の鳴き声がうるさい…など、生活に支障が出るレベルの騒音を感じている時には、飼い主さんに直接苦情を入れるのも一つの手段です。ただ、この方法は、騒音源になっている方について、お話ができるレベルの人間関係ができている場合に限ります。

皆さんも、テレビのニュースなどで見かけた記憶があると思うのですが、騒音トラブルをきっかけとして傷害事件などに発展することがあります。したがって、そういった重大トラブルに発展させないように騒音問題を解決したいときには、第三者を経由して音の問題について注意してもらうのが賢明です。
それでは、犬の鳴き声に関する苦情は誰に言えば良いのでしょうか?以下でいくつかの機関をご紹介します。

集合住宅の場合、管理会社や大家さんに相談

コロナ禍以降、マンションなどの集合住宅に住んでいる方が、新たにペットを飼い始めるケースが多くなっているようです。そして、ペットを飼う方が増えるのに比例して、犬の鳴き声などを要因とした騒音トラブルも増加しています。

集合住宅でペット騒音に悩んだ場合、まずはその物件は「ペットの飼育が認められているのか?」を確認しましょう。中には、ペット禁止の物件で隠れて犬や猫を飼育している場合があります。この場合は、管理会社などに連絡すれば、騒音源になっている方はペットを手放すか退去しなければならないので、騒音問題は解消されるはずです。

問題になるのは、「ペット可」の物件である場合です。ただ、ペット可の物件は、ペットの飼育が認められているだけで、ペットによる騒音まで認めているわけではありません。集合住宅は、さまざまな人が同じ建物内で生活することになりますので、多少の騒音は我慢しなければならないものの、深夜に大きな犬の鳴き声が…といった問題まで許容する必要はありません。
したがって、管理会社や物件オーナー様に犬の鳴き声に関する騒音について相談してみましょう。そうすることで、何らかの対処をしてくれるはずです。

自治体窓口に相談する

市役所や区役所など、自治体の窓口では、市民の生活に関わるさまざまな相談を受け付けています。当然、犬の鳴き声に悩んでいるなど、騒音に関する相談も受け付けてくれますので、住んでいる地域の役所に相談してみるというのも一つの手です。

実は、上述した動物愛護管理法では、迷惑な飼い主に対する指導などの権限を地方公共団体に与えています。

第九条 地方公共団体は、動物の健康及び安全を保持するとともに、動物が人に迷惑を及ぼすことのないようにするため、条例で定めるところにより、動物の飼養及び保管について動物の所有者又は占有者に対する指導をすること、多数の動物の飼養及び保管に係る届出をさせることその他の必要な措置を講ずることができる。
引用:e-Gov

さらに、騒音が自治体の担当者から見ても「ひどい」と考えられるようなケースでは、都道府県知事の飼い主に対する指導・助言・勧告・措置命令・検査の権限なども与えています。

第二十五条 都道府県知事は、動物の飼養、保管又は給餌若しくは給水に起因した騒音・・・・・、によって周辺の生活環境が損なわれている事態として環境省令で定める事態が生じていると認めるときは、当該事態を生じさせている者に対し、必要な指導又は助言をすることができる。
引用:e-Gov

例えば、近所のお宅が多頭飼育などをしていて、受忍限度を超えるような騒音が長時間続くといった場合、地方自治体の窓口に相談することで、何らかの解決を図ってもらえる場合があります。

警察に相談するのも一つの手段

度を越えた騒音問題の場合、110番通報することで、警察官に対処してもらうこともできます。110番通報を行えば、「巡回活動の一環」として、騒音源となっている飼い主さんに注意してくれる場合があります。

ただ、犬の鳴き声については、いくらあなたが迷惑に感じていたとしても、犯罪行為を犯しているわけではありませんので、警察の介入を過度に期待することはできません。

どうしても我慢できない場合は自宅の防音工事を検討すべき

ここまでの解説で分かるように、犬の鳴き声など、ペット騒音の悩みに関しては、飼い主に何らかの方法で犬を静かにさせることを強制することができません。実際に過去には、犬の鳴き声を原因として、裁判沙汰にまで発展しているケースも存在しています。なお、こういった裁判では損害賠償が認められているケースもありますが、過去の事例を見ると30万円の賠償金が命じられているなど、かける労力の割に金額が安いように思えます。

つまり、時間や労力をかけてまで裁判をするよりは、自宅に防音工事を施し、音の問題を速やかに解消する方が現実的な対策と考えられるのではないでしょうか?「音に悩まされている側がコストをかけるのは、納得いかないな…」という気持ちも分かりますが、裁判の労力と時間を考えると、防音工事にかけるコストの方がよほど安いと思います。なぜなら、犬の鳴き声など、ペット騒音をシャットアウトするための防音工事は、部分的な防音で対処可能なので、そこまで莫大なコストがかかるわけではないからです。例えば、戸建て住宅で、近所の犬の鳴き声対策をする場合、以下のような方法が考えられます。

  • 窓の防音工事・・・5~15万円
    建物外からの音の侵入は、窓の防音性能の低さが要因になっている場合が多いです。例えば、窓ガラスは外壁などと比較すると、とても薄い素材ですので、音を通しやすい特性があります。さらに窓は、スムーズに開閉できるようにするため、きちんと閉めていてもレール部分などに隙間が生じるような構造になっています。こういったことから、大型犬など、大きな音量になる犬の鳴き声は、窓を通過して騒音に感じるわけです。したがって、窓部分からの音の侵入を防止するため、二重窓にする防音工事や、防音ガラスに交換するといった対策を行うと良いでしょう。
  • 換気口の防音工事・・・2~5万円
    外からの音の侵入は、24時間換気システムが原因の場合も多いです。何の防音対策も施されていない換気口は、単なる空洞になっていますので、空気音が出入りし放題です。したがって、換気口の中に消音材を設置する、防音仕様の換気口に交換するといった対策で、犬の鳴き声を防ぐと良いでしょう。
  • 壁の防音工事・・・20万円~
    戸建てごとの距離が非常に近くなっている現在では、距離の近さから音を防ぎきれないなどと言った問題が生じるケースがあります。特に、寝室に面して隣の住居がある場合、犬の鳴き声が筒抜けになってしまうケースがあるのです。こういった場合、お隣の家との境界壁を防音壁に作り替える工事がオススメです。壁の中に吸音材や遮音材を設置することで、犬の鳴き声をシャットアウトする方法です。

このように、犬の鳴き声程度の問題であれば、部分的な防音工事で対処することが可能です。なお、マンションなどの集合住宅の場合、鳴き声だけでなく、足音に悩まされるケースがありますが、この場合は天井の防音工事を行うと良いでしょう。以前別の記事で、部分的な防音工事にかかる費用をご紹介していますので、以下の記事もぜひご参照ください。

> プロに防音工事を依頼した場合の費用相場とは?音の悩み別に工事の種類と費用をご紹介

まとめ

コロナ禍以降、ペットを新たに買い始める方が増えている一方、ペットの鳴き声や足音が原因となる騒音トラブルが急増していると言われています。ペットの鳴き声に関する騒音については、昔と違って家の中で飼う人の方が多いのだから騒音問題にはならないのではないか…と考える人がいると思います。しかし、いくら家の中で飼育するとはいえ、集合住宅は壁一枚で生活空間を隔てているだけですし、戸建てでもお隣との距離が数十cmしか離れていないなんて条件も当たり前の時代になっています。

犬の鳴き声は、最大で100dBを超えると言われており、これは防音室が必須とされているピアノなどと同じレベルの音量です。つまり、このような大きな音を時間帯も気にせず出してしまうと、ご近所の方にとっては迷惑以外の何物でもないのです。

この記事では、ペット騒音に悩んだ時の対処法なども簡単にご紹介しています。ただ、現在の日本では、強制的にペット騒音を抑える方法が無いのが実情ですので、我慢できない騒音がある場合、我々のような防音工事業者に相談するのがオススメです。