ブログ

サックスを家で練習したい?管楽器用防音室の特徴について、楽器別に解説します

今回は、自宅でサックスやトランペットなど、管楽器の練習をしたいと考えている方に向け、いくつかの管楽器をピックアップして防音上の注意点などを解説します。

コロナ禍以降、在宅時間の有効利用を考えて、趣味で楽器の練習を始めたいと考えている方が増えているようです。その中でも管楽器は、ピアノのように広い設置スペースを必要とするわけではありませんし、練習用の安価なタイプもたくさん販売されているため、ここ数年で管楽器に手を出してみた…という方が急増していると言われています。
しかし、実際に管楽器を購入してみた人の中には、「想像以上に大きな音が出る…」ということに悩んでしまう方が多いようです。特に、管楽器の中でも人気のサックスなどについては、TVで芸能人が演奏しているのを見て、自分も始めてみようと考える方が多いようですが、「サックスを自宅で練習したいけど、近所迷惑にならないかな?」という点に不安を感じてしまうと思います。サックスを始めとした管楽器は、1畳程度のスペースがあれば演奏そのものは可能なのですが、腕が上達すればかなり大きな音が生じるようになり、近隣住民との騒音トラブルに発展することもあるのです。

そこでこの記事では、ここ数年、一般の方の趣味としても人気になっている管楽器の防音室について簡単に解説します。

サックスなら消音機という選択肢も

画像引用:メーカーサイトより

サックスは、管楽器の中でも特に大きな音が生じる楽器として有名です。そのため、自宅で練習のために演奏したいと考える場合、本格的な防音室を用意するのがマナーとされています。ただ、専門業者による防音工事でも、高性能なユニット型防音室を設置するにしても、かなりのコストがかかってしまうため、プロのサックス奏者でもない限り気軽に防音室を作るという選択をするのは難しいものです。

そこで近年注目されているのが、管楽器用の消音機です。サックスで言えば、上の画像(e-saxという商品です)のような消音機が注目されています。消音器にもいろいろと種類があるのですが、サックスの消音機については、「e-sax」という商品が有名ですが、これを利用すれば演奏時の音を約-25dBを実現すると言われています。

ここではまず、「家でサックスの練習をしたい」という方に向けて、消音機を利用する場合のメリット・デメリットを簡単にご紹介します。なお、ここで紹介するメリット・デメリットは「e-sax」を使った場合を想定しています。

消音機のメリット

まずは防音室ではなく消音機を利用する時のメリットからです。以下のようなメリットが考えられます。

  • 防音室よりも安価で対策ができる
    最も大きなメリットは、防音室よりも圧倒的にコストがかからない点でしょう。サックスレベルの防音室を用意しようと思えば、最低でも100万以上のコストがかかります。ただ、消音機であれば、最も有名な物でも10万円以下で対策が可能です。これは非常に大きなメリットになるでしょう。
  • イヤホンで音を確認できる
    先ほどご紹介したように、消音機の性能は約-25dBです。つまり、場所によっては消音機を装着しても思い切り音を出すことは難しいです。ただ、高品質な消音機は、イヤホンで音を確認できるので、自分の演奏音を聞きながら練習することができます。
  • すぐに練習を開始できる
    消音機は通販などで購入できますので、手元に届き次第、すぐにサックスの練習を開始できます。防音室の場合、専門業者による工事なら、打ち合わせを含めると1カ月程度、ユニット型防音室でも製品の確認などをすることを想定して半月程度の時間がかかります。

このように、消音機は、低コスト、短時間で防音対策を施せる点がメリットになります。特に、コスト的なメリットについては、非常に大きいと思います。

消音機のデメリット

消音機は、低コストで防音対策が可能という点が大きなメリットになるのですが、いくつか見逃せないデメリット面もあるので、以下に紹介するデメリットは注意しましょう。

  • 演奏がしにくくなる
    特にサックス用の消音機の問題点ですが、楽器全体を覆うように消音機を取り付ける形となるため、演奏が非常にしづらいです。通常の演奏時とは手の使い方などが変わる可能性もあり、楽器の上達の足かせになる可能性すらあるでしょう。また、ベルの先に何かあるという構造になるため、低音が出づらいといった問題も生じるようです。
  • 重い
    安価な消音機であればそこまで気にならないかもしれませんが、それなりの性能を持つ消音機の場合、演奏時の負担がかなり大きくなります。例えば、e-Saxについては2kg以上の重量があるため、女性の方などになると重くて長時間練習ができない…なんてことになりかねません。ただ、軽量なものは防音性能が落ちるため、防音の視点から考えるとなかなか悩ましい問題となります。
  • 本格的な防音対策になり得ない
    最後は根本的な問題なのですが、時間帯を気にせずにサックスの練習がしたいという方にとっては、そもそも防音性能的に心もとないという問題があります。上述したように、サックス用消音機として最も有名な物でも、約-25dB程度の性能です。サックスは、それなりの腕前を持つ方が演奏した場合、110~120dBもの音量になるため、住環境によっては消音機を使っても余裕で騒音源になってしまうでしょう。戸建てで、隣家とそれなりの距離があるという方であれば、防音性能的にも足りるかもしれませんが、隣家との距離が近く夜間も演奏したいという方の場合、防音室を用意したほうが安心です。

消音機は、確かに低コストで防音対策が施せると注目されています。ただ、人々の生活空間が近くなってきた現在では、消音機の性能にあまり過信しない方が良いです。特に、マンションなどの集合住宅になると、壁一枚で各家庭の生活空間を隔てているだけですので、夜間に消音機だけでサックスの練習をすると、高確率で騒音の苦情が出てしまうでしょう。

楽器別、管楽器用防音室の注意点

それではここからは、管楽器用の防音室について、楽器別の注意点を解説していきます。防音室ならどれも同じなのでは…と思うかもしれませんが、管楽器にもさまざまな種類があり、どの楽器を演奏するのかによって音の特徴が異なります。そして防音室は、室内でどのような音が生じるのかによって必要な対策が異なるのです。

ここでは、いくつかの管楽器をピックアップし、防音上の注意点を簡単に解説します。

トランペットの防音室について

まずは管楽器の代表とも言えるトランペットの防音室についてです。トランペットは、管楽器の中でも特に大きな音が出る楽器というイメージが強いのではないでしょうか?ただ、トランペットの音は、主に中高音の音域であるため、音が壁に反射して外に出にくいという性質があり、管楽器の中では比較的防音が容易な部類です。したがって、トランペットは、そこまで遮音性が高く無くても、外部への音漏れは少ない傾向にあります。

また、トランペットの特徴として、ベル(音の出口)が大きい楽器なので、吹く向きによって音の大きさがかなり変わるというものがあります。分かりやすく言うと、トランペットの音を聞くとき、ベルの正面で聞くのと比較すると、横に移動するだけで、約10dB程度は音が小さくなると言われているのです。つまり、トランペットの練習をするときには、音を配慮しなければならない方向と逆向きで演奏することで、より高い防音効果を得ることができるわけです。例えば、隣家の境界壁ではなく、自宅側にベルを向けて吹くようにするといった感じです。

※トランペット以外にも、ベルが大きい楽器がありますが、このタイプは演奏する向きで防音効果が変わるということを覚えておきましょう。

フルートの防音室について

次はフルートです。フルートも、管楽器の中でも、音域が高い楽器なので、防音は比較的容易なタイプと言えます。低音が出る楽器と比較すると、音が壁に反射しやすいことから、演奏音が外に漏れにくいという特徴があるのです。実際に、フルート用の防音室であれば、防音室単体の遮音性能が「Dr-30~35」程度あれば、夜間に練習しても音の問題を抱えないと言われています。

さらにフルートの良い点では、演奏するためにそこまで広いスペースが必要とされないという点があります。フルートの演奏のみを考えると、1畳以下のスペースでも問題ありませんし、譜面台を設置することを考えても、1.2畳程度あれば練習ができるでしょう。つまり、フルート用の防音室の場合、部屋を丸々防音室にするのではなく、ユニット型防音室を購入し、部屋の片隅に設置するという方法でも十分な場合が多いです。

ただ、ピアノなど、他の楽器と一緒に練習したいなどという場合は、6畳程度のスペースを確保しておくのがおすすめなので、専門業者による防音室工事が良いでしょう。

クラリネットの防音室について

クラリネットは、童謡に登場するためその名称を耳にしたことがあるという方は非常に多いです。ただ、クラリネットの音の特徴を知っている方は意外に少ないです。クラリネットは、サックスと比較すると音量が小さく、音域はほぼ中音域の楽器なので、管楽器の中では比較的防音が容易です。また、省スペースで演奏が可能な楽器なので、防音室を用意する場合でも、小さなユニット型防音室でも問題ないと思います。

クラリネット用防音室であれば、演奏面のことだけを考えると1畳以下の物でも問題ありません。ただ、注意しなければいけないのは、1畳前後の小さなユニット型防音室は、換気や空調設備の取り付けができないため、スペース的には問題ないものの、その他の問題で練習が捗らない…なんてことになり得ます。例えば、防音室内の気温が上昇したり、酸欠状態で息苦しくなる…なんて話を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか?

防音室は、通常の居室と比較すると、非常に気密性が高い環境になりますので、人の体温などで室温が上昇します。通常の防音室であれば、エアコンで温度調節ができるのですが、小さな防音室の場合、それが出来なくて、暑くて練習ができない…なんてことになるのです。また、小さな防音室の場合、人の呼吸により酸素濃度が薄くなり、酸欠の危険もあると言われています。これも、小さな防音室には換気設備がないことが要因です。楽器の上達を考えた場合、ある程度集中して練習ができる環境が望ましいですし、長時間の楽器練習を想定している場合は、専門業者による防音室工事がおすすめです。

サックスの防音室について

最後はサックスについてです。サックスの注意点としては、どのサックスを使用するのかによって、防音室に求められる性能が変わる点です。例えば、アルトサックスやソプラノサックスは中音・高音が出る楽器なのですが、テナーサックスやバリトンサックスは中音・低音が出る楽器なので、必要な防音性能がサックスでも異なるのです。

テナーサックスやバリトンサックスは、低音域の音が出るうえに、音量も非常に大きいため、音が壁をすり抜けてしまうことが多いです。アルトサックスやソプラノサックスについては、音は大きいものの、中・高音域なので、音が壁に反射しやすく、外にはあまり漏れないという特徴があるのです。したがって、サックスでも、テナーサックスやバリトンサックスの演奏を想定している場合、遮音性が高い防音室が必要と考えてください。アルトサックスやソプラノサックスは、トランペットレベルの防音室でも問題ありません。

この他の注意点としては、サックス用の防音室はそれなりのスペースが必要になる点です。ベルと防音壁の距離が近すぎると、防音壁の遮音性能が十分に発揮できず、想定した以上の音漏れが生じてしまう…なんてことがあるのです。そのため、サックス用の防音室の場合、「演奏が可能な広さのユニット型防音室」と言った考えではなく、防音壁から十分に距離がとれるようなしっかりした防音室を作ってもらうのがおすすめです。

> 阪神防音が作る管楽器用防音室の詳細はコチラ

まとめ

今回は、サックスを始めとした管楽器の防音について解説しました。記事内でご紹介したように、管楽器の防音対策では、防音室を作る以外にもそれぞれの楽器ごとに消音機が用意されるようになっています。サックスであれば、楽器を覆うように取り付けることで約-25dBも減音することができるアイテムなどが用意されています。トランペットなども、ベルに取り付ける消音機があり、こういったアイテムを利用すれば楽器の演奏による騒音トラブルを防止できるようになっています。

ただ、楽器の上達を考えた時には、消音機の利用はあまり望ましくないという方が多いです。楽器の上達は、普段通りの使い方で、自分の出した音を聞きながら演奏することが大切だとされているので、先ほど紹介した消音機などはオススメではないという方がいるのです。また、住環境によっては、消音機の減音では騒音問題を防げない場合もあり、そういった方は専門業者による防音室工事やユニット型防音室の設置が必要です。

現在、「家でサックスの練習がしたい!」などとお考えで、防音室に興味がある方がいれば、お気軽に阪神防音までご相談ください。

カテゴリー: タグ: ,
この記事を書いた人

WEB 担当

阪神防音のホームページの管理をしております。 よりわかりやすくお伝えするよう心がけておりますが、もっとこうして欲しいなどご意見ございましたらお問い合わせフォームよりダメ出ししていただけると喜びます^^