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近所迷惑にならないように楽器の演奏を行うには?音と騒音の基礎知識をおさえておこう!

自宅で楽器の演奏をしたいと考えている場合、自宅内に住むご家族への配慮はもちろん、近所周辺への「騒音」に注意しなければいけません。

近年では、マンションなどの集合住宅で生活する方が増えていますし、都市部の戸建て住宅は、家と家の距離が非常に近くなっていることから、楽器の演奏時には、音で近所迷惑にならないようさまざまな対策を施す必要があります。実際に、自宅で楽器の演奏を検討している方の多くは、専門業者に依頼して専用の防音室を用意するのが一般的です。

ただ、防音に関する知識が少ない一般の方からすると、そもそも騒音トラブルを引き起こすような音量がどの程度のものなのかいまいち分からず、防音工事をするにしても「何を目標にすれば良いの?」と不安になってしまう方が少なくないようです。防音工事を行う場合、当然、それなりのコストがかかってしまいますし、可能な限りコストを抑えたうえで近隣との騒音トラブルを防止したいと考えることでしょう。

そこで当コラムでは、近所迷惑にならないように楽器演奏がしたいと考えている方に向け、防音工事を依頼する前に知っておきたい音と騒音の基礎知識を解説します。防音工事業者と、的確な交渉ができるようになるためには、音や騒音に関する知識が必要になりますので、ぜひ下で紹介する内容を覚えておきましょう。

「音」と「騒音」の基礎知識

それでは、防音工事を検討している方が知っておきたい音と騒音の基礎知識について解説していきます。そもそも論ですが、人が何らかの行動を行う時には、大小の違いはあれど必ず音が生じます。人が生きていく限り、完全に無音の状況など作りようがなく、その逆に人は完全に無音の状態に耐えられない生物とも言われています。

ただ、無音状態があり得ないとはいえ、いくらでも音を出しても良いわけではなく、近隣の方が「うるさい!」と感じないレベルにおさえなければいけないのです。ここでは、どのレベルの音になると、人が騒音と感じるのかなど、音と騒音の関係性などについて解説します。

各部屋での理想的な音量

それではまず、一般住宅内の各部屋について、どの程度の音量レベルが人が日常生活を進めるうえで、理想的と考えられているのかを解説します。

ちなみに、音の大きさを表す単位については『dB(デシベル)』というものが使用されます。テレビなどでも声の大きさを計測する際に使用されていますし、皆さんもこの単位は耳にしたことがあると思います。dBは、数値が大きくなるいほど大きな音となっていき、一般的に人がうるさいと感じるレベルの音量は「65dB」程度と言われています。ただ、音の感じ方は人や環境によって異なりますので、これよりも小さな音でもうるさいと感じたり、その逆に大きな音でも気にならなかったりはします。

一般住宅にて、各部屋の理想的な音量は次のような感じです。

  • 書斎や勉強部屋の理想的なdB等級:35dB程度
  • 寝室やリビングの理想的なdB等級:40dB程度
  • ダイニングの理想的なdB等級:45dB程度
  • キッチンの理想的なdB等級:50dB程度

このように、部屋の利用目的によって理想的な音量は変わります。また、住宅周辺の環境によっても理想的なdB等級は変わります。これは、繁華街などであれば、周辺に存在する環境騒音が大きいため、多少の音であれば、それらに紛れてしまうからです。

日常生活の中にある音の大きさと感じ方について

私たちの日常生活の中には、さまざまな音が溢れています。例えば、人が室内を歩くだけで足音が生じてしまいますし、そこら中から人の会話の声が聞こえてきますよね。それでは、こういった日常生活の中にある音については、どれぐらいの音量で、また人はその音をどう感じているのでしょうか?

ここでは、日常生活の中にある音の大きさと、それを人がどう感じるのかについて簡単にまとめてみます。

  • 【10~25dB】:小さな寝息や雪の降る音(とても静かと感じる)
  • 【25~45dB】:郊外の住宅地、衣服が擦れる音、鉛筆の音(静かと感じる)
  • 【45~65dB】:テレビの音声、水洗トイレ、都心の住宅地(普通)
  • 【65~85dB】:パチンコ店内、新幹線の車内、蝉の鳴き声(うるさいと感じる)
  • 【85~105dB】:地下鉄の車内、滝の近く(とてもうるさいと感じる)
  • 【105~130dB】:ジェット機、コンクリート工事(聴覚障害の危険がある)

私たちの日常生活の中にある音に関しては、上記のような感じです。注意が必要なのは、音に対する人の感じ方は、その人が何をしているのかや性格などが関係してきます。例えば、通常は気にならない、テレビの音声やトイレの排水音でも、就寝中の深夜に聞こえてくると「うるさいな!」と感じてしまうことでしょう。
音は、それを聞く人の状況などが感じ方に関わってくるという点も忘れないようにしましょう。集合住宅で、深夜の洗濯や入浴が好ましくないとされるのは、これが原因です。

楽器が生じさせる音量とは?

ここまでの内容で、人が日常生活を進める時、周囲にどのような音があり、どの音量になれば近隣に迷惑をかけてしまうのかが分かっていただけたと思います。それでは、自宅で楽器の演奏を考えている場合、それぞれの楽器が生じさせる音の大きさとは、どの程度のものなのでしょうか?

防音工事が必要なのか、またどの程度の性能が必要なのかを知るためには、楽器が生じさせる音量を抑えておかなければいけません。以下に、代表的な楽器について、演奏時に生じる音の大きさをご紹介します。

  • 自宅でピアノを演奏する場合の音量
    ピアノは、演奏者の技量で音量が変わります。一般的に、練習中の子どもで「70~90dB」、それなりの技量を持つ大人の演奏で「90~100dB」、プロの演奏家になると「110dB」の音量になるとされています。
  • 自宅でドラムを演奏する場合の音量
    ドラムは太鼓を叩く力が音量に影響します。一般的に、子どもで「80~100dB」、それなりの技量を持つ大人の演奏で「100dB~」、プロになると「120dB」の音量になるとされています。
  • 自宅で金管楽器を演奏する場合の音量
    金管楽器はさまざまな種類があり、どの楽器を演奏するのかによって最大音量が変わりますが、一般的に「100~110dB」の音量になるとされています。
  • 自宅で木管楽器を演奏する場合の音量
    木管楽器もさまざまな種類があり、どの楽器を演奏するのかによって最大音量が変わります。一般的には「70~95dB」の音量になるとされています。
  • 声楽・ボーカルの音量
    ボーカル練習などを自宅で行う場合の音量は、「90~110dB」の音量になるとされています。カラオケルームなどもこのレベルの音量になると考えておきましょう。

このように、楽器の演奏による音量は、非常に大きな音になります。当然、何の対策もないまま自宅でこれほどの音を生じさせた場合、近所迷惑になってしまい、騒音トラブルに発展してしまうでしょう。

ちなみに、音は「Hz(ヘルツ)」と言う単位で表される周波数にも注意を払う必要があります。これは、音の高低を表す単位で、周波数が高ければ「キーン」とした耳をつんざくような音になります。その逆に、周波数が低ければ、「ズーン」とお腹に響くような音になります。
防音という視点で考えると、周波数が高い音ほど吸音・遮音しやすく、低い音は吸音・遮音しにくいという特徴があります。

自宅での楽器の演奏は防音室が必須!

前項の説明で分かるように、自宅で楽器の演奏を考えている場合、近隣住民に配慮して防音室を用意しなければいけません。ピアノやドラムなどは、お子様が練習で演奏するだけでも、人が「とてもうるさい」と感じるレベルの騒音になるわけですので、何の防音対策もなさなければ、ほぼ確実にご近所さんとの関係が壊れてしまいます。

ここでは、大きな音を生じさせる楽器演奏に必要な防音に関する知識をご紹介します。

防音室の性能を表すDr等級について

Dr等級は、遮音性能を表す日本工業規格の単位です。ちなみに、防音工事業者が性能評価を示すときには「D-〇〇」と表記されるD値が利用される場合もあります。D値に関しては、JISA1419「建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法」にて、1992年に規定された評価方法です。そして、JISA1419が2000年に改定された際に、「D値」から「Dr値」に変更されたという流れになっています。つまり、D値とDr値は同じ意味として捉えても構いません。

このDr等級は、数字が大きくなればなるほど遮音性能が高いことを示しています。
例えば、90dB程度の音を発生させるピアノについて、いつもピアノの練習を行っている部屋を防音室にしたところ、隣の部屋に漏れる音量が50dBまで下げられたとします。この場合、Dr値の計算式は「90dB-50dB=40dB」となり、40dBの音を遮る防音性能を持っていると判断できることから『Dr-40』の防音室となるといった感じです。

ちなみに、ピアノ用防音室を作る場合、Dr等級の違いで以下のような音の漏れ方の違いになります。

  • Dr-30:壁を隔ててピアノの音が「小声」くらいに聞こえる
  • Dr-40:壁を隔ててピアノの音が「ひそひそ声」くらいに聞こえる
  • Dr-50:壁を隔ててピアノの音がほぼ聞こえなくなる

防音室の実現方法について

最後に、自宅で楽器の演奏を考えている方が、どのようにして防音室を作るのかと言った点について簡単に解説します。実は、一般住宅に防音室を作る方法については、次の二つの方法があるのです。

■ユニット型防音室を設置する

一つ目は、部屋の中に防音性能を有したプレハブ小屋を設置するという方法です。ユニット型防音室は、0.8畳~5畳程度とさまざまな種類があり、防音性能もDr-30~Dr-40までと幅があります。基本的に、広くて性能が高いものほど高額になります。工事タイプの防音室と比較すると、低コスト、短工期で防音室が実現できるのがメリットです。中古品も販売されているので、想像以上に安く防音室を設置できる場合があります。

ただし、ユニット型防音室は、既製品のプレハブ小屋を購入し、部屋の片隅に組み立てるといったものになります。工場製品ですので、規格なども統一されていて、ユーザーの要望に合わせて細かくカスタマイズすることも難しいです。特に、防音室内の音響環境に不満を感じる方が多く、長時間の楽器の練習には向かないと言われています。

ユニット型防音室を設置する場合は、防音室の利用用途から広さや防音性能を選択すると良いでしょう。例えば、フルートなど、立って演奏が可能な楽器であれば、1畳前後のものでも構いませんが、ピアノの演奏となると、アップライトピアノでも2.5畳以上の物を選ぶ必要があるでしょう。

■防音工事タイプの防音室

これは、既存の部屋を丸ごとリフォームして防音室に作り替えるという方法です。防音工事による防音室は、上述したユニット型防音室よりもコストが高くなると考えておきましょう。また、防音工事後に引っ越しが必要になった場合、防音室を次の家に持ち運ぶことはできません。基本的に一生物の防音室になると考えておきましょう。

コストや移動の自由度については、ユニット型防音室が勝るかもしれませんが、その他の防音室の性能などについては、工事タイプの防音室が確実に勝っていると言えるでしょう。工事タイプの防音室は、お客様から、防音室の利用用途や利用時間、好みの音響環境などをお伺いし、利用者に最適な防音室になるよう、一から設計を行います。したがって、音漏れしないことはもちろん、長時間の防音室の利用でも、不快感を感じることなく、楽器の練習などに集中することが可能です。
防音性能についても、利用用途や周辺環境に合わせて、必要な性能を持たせることが可能です。なお、防音工事を依頼する業者については、契約時に「防音室の性能保証」を行ってくれる会社を選びましょう。音は、人によって感じ方が異なるため、数値による性能保証がない限り、完成後の防音室に不満があっても「防音室とはこんなものだ!」などと押し切られてしまう恐れがあるのです。これが、「工事後、Dr-65」などと言った数値による性能保証があれば、それに達しているかどうかで工事の成否を測ることができるようになります。防音室は、必要な性能を満たしていなければ工事をする意味がないので、性能保証を行ってくれる業者を必ず選んでください。

まとめ

今回は、「近所迷惑にならないように楽器の演奏を行うには?」という疑問に答えるため、音と騒音の基礎知識について解説しました。

私たちの周りにはさまざまな音が存在していますが、楽器が生じさせる音は、人の生活音とは比べ物にならないほど大きな音量となります。したがって、近隣の方に迷惑をかけないように楽器の演奏を行いたいと考えた場合、防音室は必ず用意しなければならないと考えるべきです。

現在、楽器の演奏や自宅カラオケなどを検討中で、自宅に防音室が欲しいと考えている方は、お気軽に阪神防音までお問い合わせください。

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