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マンションでのペット騒音はどうすれば良い?騒音トラブルに発展する前に検討すべき防音対策

日本国内でも、東京や大阪など、大都市圏の住宅事情を考えてみると、マンションなどの集合住宅で生活する方が増えています。日本では、「東京一極集中」などという言葉があるように、大都市圏に人が集まって生活するようになっています。しかし、ただでさえ国土が狭い日本ですから、大都市圏に人が集中すると、それぞれのご家庭が戸建て住宅を建てられるほどの土地を確保するのは難しいです。そのため、そこら中に大規模なマンションが建設され、同じ建物内にさまざまな生活習慣を持つ方が一堂に集まるようになっているのです。

このような状況の中、各家庭の生活空間が近くなったことによる騒音トラブルが急増していると言われています。特に、日本国内の多くご家庭が飼育するようになった犬や猫などのペット騒音によるトラブルは、コロナ禍以降さらに増加傾向を見せていると言われています。

そこでこの記事では、マンションなどで犬や猫などのペットを飼育したいと考えている方に向け、ペット騒音で隣人とトラブルにならないためにおさえておきたいポイントを解説します。

ペットによる騒音トラブルの原因とは?

それではまず、集合住宅でペットを飼育する際、どのような音の問題が発生するのかについて解説していきます。一昔前までは、マンションなどの集合住宅は、ペットの飼育が禁止されている物件の方が多かったように思えます。しかし現在では、多くのご家庭がペットを飼育するようになっていることからか、マンションなどの集合住宅も「ペットと一緒に暮らす」ことを前提とした物件が増えています。

ただ、物件の中には、ペットが生じさせる騒音に対する防音がしっかりと行われていないケースも珍しくなく、実際にペットを飼い始めた時に隣人と騒音トラブルを抱えてしまうことが増えていると言われています。

それでは、集合住宅でペットを飼育する場合、どのような音が問題になるのでしょうか?ここでは、ペットの飼育時に考えられる代表的な騒音をご紹介します。

①鳴き声

ペットによる騒音と聞いたとき、真っ先に思い浮かぶのが「ペットの鳴き声」だと思います。実際に、隣人とのペットによる騒音トラブルでは、鳴き声が原因となっているケースが最も多いと言われています。

飼い主からすると、可愛いペットの鳴き声かもしれませんが、隣人からすれば騒音以外の何物でもありません。特に、犬の鳴き声は、90〜100デシベルほどの音量に達すると言われており、これは防音室が必須とされるピアノの音量に匹敵する音となるのです。
ペットが鳴き声を上げるのは、自然現象ではありますが、早朝や深夜に大きな声で吠える、長時間吠え続ける…なんて状態が毎日続くようであれば、近隣に住む方からの苦情は免れないでしょう。さらに集合住宅でのペット騒音が問題になりやすいのは、あるお宅の犬が鳴くと、その他の住宅が飼育しているペットが一斉に反応して吠え始めるなんてことがある点です。こうなると、ペットを飼育していない方にとっては、地獄のような環境になりますので、管理会社などへ苦情が入ってしまう訳です。

なお、猫はあまり鳴き声をあげないと考えられがちですが、発情期になると、鳴き声が大きくなり、それが一週間ほど続くので苦情の可能性が高くなります。

②足音

集合住宅ならではのペット騒音では、犬や猫の足音があります。特に、大型犬を家の中で飼育している場合、かなりの足音が響きますので、騒音に対する苦情の可能性が高くなります。

犬や猫の足音については、人と比較すると体重が軽いため、それほど響かないのではないか…と考える方が多いです。しかし、体重が非常に軽い小型犬や猫の飼育でも、足音に対する苦情が生じてしまう場合があるのです。なぜなら、犬や猫は人間と異なる体のつくり、習性があるからです。

例えば、犬の場合、単なる足音ではなく、爪がフローリングにあたってカチャカチャと言った音が生じ、それが階下に伝わって苦情になるケースがあるようです。猫に関しては、「高い場所が好き」という特性があり、高所から飛び降りる時に「ドンッ」という衝撃音が階下に迷惑をかけます。特に猫は、人が寝静まっている深夜から早朝にかけて活発に動く子がいて、その時間帯の衝撃音でトラブルに発展してしまうようです。

集合住宅の2階以上でペットを飼育する場合、階下に足音で迷惑をかけてしまうかもしれないという点は注意しましょう。

③飼い主の声

意外かもしれませんが、ペットを飼育する際の飼い主の声が騒音トラブルになることもあるようです。「なんで人の声が?」と疑問に思うかもしれませんが、ペットがいたずらをしたときに、飼い主がりつける時の声が騒音に値すると苦情が入ることがあるようです。叱る時には、つい興奮して大きな声になってしまう方も少なくなく、この声が近隣住宅に伝わってしまう訳です。

ちなみに、小さなお子様がいるご家庭についても、子供が騒ぐ、泣くときに生じる音よりも、親が子供を叱る時の声が最もうるさいとみなされているデータもあります。生き物を飼育する場合、叱ることはあるかと思いますが、その時の声量は注意しましょう。

それでは、こういったペットによる騒音は、どのような対応を行えば良いのか、次項で見ていきましょう。なお、③の飼い主の声については、大きな声で叱らないようにすることで対応可能だと思います。

ペットの鳴き声に対する防音対策とは

まずは、ペット騒音最大の問題である鳴き声への対策です。飼い主さんの叱りつける際の声については、「大きな声を出さないように注意する」ことで対処可能です。しかし、犬や猫に「大きな声で鳴かないで」と言っても、人間のように音量をセーブするようなことはできません。したがって、ペットの鳴き声による騒音を防ぐには、何らかの防音対策が必要になります。

なお、ペットの鳴き声は、空気の振動を伝わる空気伝搬音ですので、住宅の隙間から音が漏れていき騒音トラブルに発展します。逆に言うと、住宅に生じている隙間をきちんと塞ぐことで、音漏れを防ぎ、騒音トラブルを防止することが可能です。例えば、以下のような対策が考えられます。

  • 窓の防音対策で音漏れを防ぐ
    空気音が外部に漏れる要因は、主に窓の隙間です。窓はキチンと閉めていても、スムーズに開閉できるよういくらかの隙間が生じるような構造になっていて、そこから音が漏れます。したがって、窓に防音対策を施してあげることで、犬の鳴き声など、空気伝搬音が拡散するのを防ぐと良いです。具体的な手法としては、窓部分に防音カーテンを設置する、内窓を設置して二重窓にするといった方法があります。防音カーテンは、大掛かりなリフォームなどが必要ないため、手軽に対策ができます。ただ、そこまで高い防音効果があるわけではないので、可能であれば、二重窓工事などがおすすめです。
  • 隣家との境界壁に吸音材を設置する
    集合住宅によっては、隣家との境界壁の薄さが原因となり、ペットの鳴き声による騒音トラブルが発生するケースがあります。基本的に、鉄筋コンクリート造の分譲マンションであれば、壁の防音性は問題ないのですが、賃貸のアパートなどは注意が必要です。壁の防音性の低さについては、壁に吸音パネルや防音パネルと呼ばれる製品を設置すると良いでしょう。最近では、さまざまなデザイン性の物が登場していますので、お部屋の雰囲気を壊すことなく、壁の防音性を高めることが可能です。
  • ドアの隙間を埋める
    近年、住宅に採用される室内ドアは、閉めていても換気がなされるようにワザと隙間が生じるような構造になっています。これは、家の気密性が高くなったことが要因なのですが、ドア部分の防音性のことを考えると、明確な弱点になります。空気伝搬音は、空気の振動で伝わるわけですので、空間をきちんと埋めなければ、隙間からいくらでも音漏れが発生します。これを防止するためには、ドアに生じている隙間を、隙間テープなどで塞ぐと良いでしょう。なお、より高い防音性を求めるのであれば、室内ドアを防音仕様のドアに交換するのがおすすめです。

集合住宅で、ペットの飼育を考えている場合、上記のような防音対策が必要になると考えましょう。なお、音の問題は、「苦情が入らないように事前に対策を行う」ことが大切です。人は、一度気になった音は、それまで以上に気になってしまうと言われていて、騒音の苦情を言われてから防音対策を施し、音が小さくなっても苦情がやまない…なんてことになる場合もあるようです。ペットを飼い始める時にきちんと対策を施しておけば、そのような心配もないでしょう。

ペットの足音に対する防音対策とは

次は、ペットの足音による騒音トラブルを防止するための対策です。ペットの足音は、物体を介して音の振動・衝撃が伝わる「固体伝播音」に分類される音で、空気音よりも対策が難しいです。

集合住宅の2階以上で暮らす方がペットを飼育する場合は、以下のような対策を検討しましょう。

  • ペットの行動範囲に敷物を設置する
    小型犬の足音対策では、ペットの行動範囲を限定し、足音が階下に伝わらないようジョイントマットやコルクマットを床に敷くという対策が効果的です。低コストなうえ、誰でも簡単に施せる対策ですので、苦情を言われる前に行っておくのがおすすめです。なお、中型犬以上がジャンプした時、猫が高いところから飛び降りた時の衝撃音などを防ぐのは難しいです。
  • マットの上に遮音カーペットを敷く
    中型犬以上の足音対策であれば、マットの上にさらに遮音カーペットを敷くという対策が有効です。効果の高い物は高額ですが、遮音性が優れたものであれば、階下に住む方がほとんど足音などを感じないほど音を遮ることが可能と言われています。ただ、家の中を自由に行動できるようにしている場合、全体にカーペットを敷くのは難しいので、他の対策も併用する必要があるでしょう。
  • 防音性の高いフローリングに張り替えする
    分譲マンション等、自分の持ち物件であれば、床を遮音性の高いフローリングに張り替えするという対策があります。もちろん、家全体のフローリングを張り替えするとコストが高くなります。したがって、音による影響が大きい、リビングや寝室部分のフローリングだけを遮音フローリングにするなどとすれば良いでしょう。

ペットの足音は、皆さんが考えている以上に響きます。最近では、家の中で大型犬を飼育する方が増えているのですが、この場合、何らかの足音対策が必須と考えておいた方が良いです。これは、「ペット可」の物件でも同じで、ペット可というのはあくまでもペットの飼育が認められているだけで、それに伴う騒音を出しても良いという許可ではありません。

まとめ

今回は、マンションなどの集合住宅で暮らす方が犬や猫などのペットを飼育する際に考えておかなければならない防音に関する注意点を解説しました。コロナ禍以降、ペットを飼い始める方が急増していると言われているのですが、その裏ではペットが生じさせる騒音により隣人トラブルに発展する…というケースも増えていると言われています。

記事内でご紹介したように、集合住宅で犬や猫を飼う場合、鳴き声や足音が原因となり、近隣住民との騒音トラブルが発生する可能性があります。これは、ペット騒音は皆さんが考えている以上に大きな音で、ペットを飼っていない人からすれば騒音以外の何物でもないというのが一つの要因です。また、集合住宅は、構造物で各家庭の生活空間が繋がっているうえ、非常に近い場所で生活習慣が異なる人が生活することになるため、ちょっとした音でも大きな問題に発展してしまう可能性があるのです。

ペット可の物件は、あくまでもペットの飼育が認められているだけで、ペットに関わる騒音を際限なく生じさせても良いという意味ではありません。当然、同じマンションに住む方の生活環境を壊すような騒音が発生している場合、騒音源側が何らかの対策を求められると考えておきましょう。
なお、ペット騒音の対策として、二重窓にする、床を遮音フローリングに張り替えするといった対策を行えば、人間が生じさせる生活音が伝わるのを防いでくれますし、窓部分に関しては断熱性を高めてくれるという嬉しい効果も得られます。コストはかかりますが、余計なトラブルを防ぐためには、必要な対策かもしれませんね。