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新築時に防音室が必要と判断するポイント!防音室を作るメリット・デメリットも紹介

近年では、新築一戸建ての購入時に「防音室を作った方が良いのかな?」と迷う方が多くなっていると言われています。これは、コロナ禍以降、テレワークなどの新たな働き方が日本国内でも浸透してきており、自宅で仕事に集中できる静かな環境が求められるようになったことが大きな要因と言われています。さらにこれ以外にも、昨今の戸建て住宅は、狭小地に三階建て住宅を建築する場合が多くなっており、隣家との距離が近いことで音の問題を抱えてしまうケースが多くなっているというのも要因の一つのようです。

ただ、防音室は、一般的な居室と比較すると、特殊な工法や建材が採用されることになるため、部屋を作るためには多額のコストがかかってしまうことになります。そのため、新築時に防音室が欲しいと思いながらも、かかるコストとのはざまで「本当に防音室は必要なのかな?」と迷ってしまう方がいるわけです。

そこでこの記事では、これから新築一戸建ての購入を検討している方に向け、自宅に防音室が必要かどうかを判断するためのポイントをいくつかご紹介します。

防音室が必要か判断するためのポイント

一般的に、防音室を作る目的というのは、自宅で楽器の演奏を検討している、カラオケやホームシアターを楽しみたいなど、自分が生じさせる音で近隣の方に迷惑をかけないようにするという、「配慮」の面が大きいです。しかし昨今の防音室は、自宅で仕事に集中するため、外部騒音をシャットアウトしたいなど、音の侵入を防ぎたいと考え、自宅に防音室が欲しいと考える人も増えています。

それでは、これから新築住宅の購入を検討している方が、防音室の必要性を判断するためには、何を目安に考えれば良いのでしょうか?ここでは、防音室の必要性を判断するためのポイントをいくつかご紹介します。

建物の構造や周辺環境

防音室が必要かどうかを判断するための目安としては、そもそも住宅そのものが持つ防音性がどうなのか、また周辺環境を鑑みて音による影響が大きいのかを確認することが大切です。

実は、建物の防音性というのは、特別な防音室を設置しなくても、建物構造や使用する建材などによってある程度高めることが可能です。具体的には、以下のような対策が考えられます。

  • 高い防音性を持つ建物構造を選ぶ(木造ではなく鉄筋コンクリート造など)
  • 遮音材、吸音材を多く利用してもらう
  • 高気密・高断熱住宅を選ぶ
  • 騒音が聞こえづらくなる間取りにする(お風呂などの水回りから寝室を離すなど)
  • 子供部屋に畳を採用して吸音材とする
  • 二重窓や防音ガラスを採用する

新築時に、上記のような対策を施すことで、日常生活の中に存在する生活騒音程度なら防音できるような家にすることが可能です。もちろん、こういった対策は注文住宅で、住人側の意見を重視して設計できる環境が必要なので、建売住宅を購入する場合にはなかなか難しい対策となります。
一般的な住宅を建築するのと比較した場合、鉄筋コンクリート造にするなどと言った対策は建築費用が高額になってしまいますが、高気密・高断熱住宅にする、間取りを工夫するといった対策であれば、そこまで高いコストをかける必要はありません。さらに、高気密・高断熱住宅は、日々の生活にかかる光熱費削減が目指せるため、中長期的に見た場合、コストが抑えられる可能性もあるでしょう。このように、家そのものの防音性を高めることで、特別に防音室を用意しなくても問題ない場合も多いです。

この他、購入する家周辺の音環境をしっかりと調べることも大切です。例えば、隣家との距離が十分に離れている、周辺に騒音を出すような施設がない(線路や幹線道路、公園など)場合は、防音室を用意しなくても問題ないかもしれません。

入居後に自分で対策できる程度の音の問題か?

新築時に防音室が必要かどうかを判断する一つの目安としては、どのような音の問題が考えられるのか明確にすると良いです。例えば、自宅で飼育する予定の犬の鳴き声やテレワーク中に人の声が入ってこないようにしたいなど、そこまで大きな音を想定していないのであれば、入居後に自分で対策を施すことも可能です。ペットの鳴き声や人の話し声程度の音の問題なら、本格的な防音室を用意しなくても、以下のような自分で出来る防音対策でも対処可能なはずです。

  • 遮音・吸音性の高い防音カーテンを設置する
  • テレビなど、音を生じさせる家電は、騒音の影響が少ない部屋側に設置する
  • 洗濯機や室外機を設置する際は防振ゴムで振動音を防ぐ
  • 足音対策のため、リビングの上の部屋には防音マットなどを敷く

このような対策は、専門業者に依頼する必要はなく、材料を自分で購入し対策を施すことが可能です。費用的にも、数千円~数万円程度で可能な対策が多いため、入居後に対処可能なレベルの音と判断できる場合は、防音室は用意しなくても構わないでしょう。

楽器演奏など、大きな音を生じさせるか?

上記とは異なり、自宅でピアノやドラムなどの楽器の演奏を考えている、映画鑑賞やカラオケを楽しみたいなど、自宅で大音量を出す可能性が高いという方の場合、入居後に自分で対処することは難しいため、新築時に防音室を作ってもらっておくのがおすすめです。

楽器演奏やホームシアターなどによる大きな音は、通常の建物構造や簡易的な防音対策で防ぐのは難しく、どうしても音漏れが発生して近隣との騒音トラブルに発展する可能性が残ってしまいます。したがって、隣人に配慮するためにも新築時に防音室を作りましょう。

なお、大きな音を出すわけではないテレワークなどについても、家族が生じさせる音で仕事に集中できないのでは…という不安があれば、新築時に簡易の防音室を用意しておくのがおすすめです。日本の住宅は、家族とのコミュニケーションがとりやすい間取りが重視される傾向にあり、自宅で仕事をすることが想定されていません。そのため、家事などで行き来するパートナーの姿が目に入る、子供が騒ぐ声が気になるなど、仕事に集中できない環境になる可能性があります。テレワーク用の防音室は、楽器防音ほどの性能は不要なので、コストも抑えられるはずです。

新築住宅に防音室を作るメリットとは?

それではここから、新築住宅に防音室を作るメリットについて解説していきます。防音室は、大きな音を生じさせたとしても、外に音漏れさせることを防ぎ、近隣の方に騒音で迷惑をかけないようにするという配慮の面を主目的に作られるものというイメージが強いです。ただ、防音室というのは、単に近隣配慮を目的としているわけではなく、自分の趣味を最大限楽しめる環境を作るという目的もあるのです。

ここでは、新築時に防音室を用意することで得られる代表的なメリットをご紹介します。

時間帯を気にせず楽器演奏ができる

音楽関連の仕事についている、お子様が楽器を習っているというご家庭の場合、家族や近隣住民に迷惑をかけることなく、楽器の練習に集中できる点が大きなメリットになるでしょう。防音室は、やはり楽器の演奏を目的に作る方が圧倒的に多いです。

防音室を用意しておけば、早朝や夜遅くなど、時間帯を気にせずに楽器の練習ができますので、音楽制作をするためのスタジオ利用なども可能になります。

音響の良い環境で映画やカラオケを楽しめる

近年では、ホームシアターやオーディオルーム、カラオケルームなど、自宅で大きな音が生じる趣味を楽しむため防音室を求める方が増えています。これは、コロナ禍で在宅時間が長くなったこともあり、自宅で自分の趣味を思い切り楽しめる環境を作りたいと考える方が増えたのが大きな要因だと思います。

新築時に防音室を作っておけば、このような趣味を持っている方でも時間帯を気にせずに楽しむことができるようになります。さらに、防音工事の専門業者に防音室を依頼すれば、単に音漏れを防ぐだけでなく、映画館さながらの音響環境を作ってもらうことも可能です。つまり、自分の趣味を最高の音響環境で楽しむことができるようになるわけです。

仕事や学習に集中できる環境が作れる

防音室は、室内の音が外に漏れるのを防ぐだけでなく、外の音が防音室の中に入ってくるのも防ぐことができます。つまり、テレワークやリモート学習用の部屋としても非常に有効な訳です。

実際に、コロナ禍以降は、テレワーク用の防音室が用意されている建売住宅を販売するハウスメーカーも登場しているなど、仕事・学習用の部屋が作れる点は大きなメリットになります。

不動産価値が上がる

防音室は、全ての住宅が備えているわけではないので、防音室がない物件よりもある物件の方が不動産価値が高まります。将来的に、家の売却や賃貸に出すことを検討した時には、他の不動産にはない特別な設備を持つ家として高く売却出来たり、家賃を高く設定することも可能かもしれません。

新築住宅に防音室を作るデメリットとは?

新築時に防音室を作るという選択には、メリットばかりではなくいくつかのデメリットも存在します。ここでは、これから新築住宅の購入を検討している方で、防音室を作ろうか悩んでいる方に向け、おさえておくべきデメリット面をご紹介します。

家の建築コストが上がる

最もわかりやすいデメリットが、家を建てるためにかかる建築コストが高くなるという点です。防音室は、専門性が非常に高く、特殊な建材や工法が必要になるため、一般的な居室を作るよりも建設費用が高くなります。

住宅の購入は、それでなくても多額のコストがかかりますので、可能な限り費用を抑えたいという意識が働くと思います。ただ、新築時に防音室を作るためには、通常の戸建てを建てる場合より、数百万円程度コスト高になる可能性があると考えてください。

部屋の利用用途が制限される

楽器演奏用など、本格的な高性能防音室を作った場合、その部屋の利用用途は制限されることになります。防音室は、非常に高い気密性を誇るうえ、断熱性が高い部屋になりますので、換気が難しい、熱がこもりやすいといった問題が生じます。もちろん、エアコンなどを設置することで、防音室としては問題なく使用できるようにします。しかし、その他の利用用途を考えた場合、通常の居室よりも使い勝手が悪いと感じる可能性が高いでしょう。

例えば、寝室として利用する場合、熱がこもるという性質上冬場は良いのですが、夏場は室温が高くなりすぎるため向かないでしょう。エアコンをつけっぱなしにすれば問題なく寝室利用が可能ですが、光熱費に頭を悩まされるなど他の問題が生じてしまいます。
なお、このように部屋としての利用用途が制限されるのは、楽器防音レベルの高性能な防音室を作った場合のみです。防音室は、静かで快適な寝室にするための工事などもありますし、快適に過ごすための防音室を作ればこの問題は気にしなくても構いません。

家の売却時に買い手が付きにくくなる可能性がある

新築時に防音室を作る場合、不動産価値を高めることができるのですが、実際に売却を考えた時には買い手が付きにくくなる恐れがある点がデメリットです。防音室は、何らかの音を生じさせる人が特別に用意する部屋ですし、特定のニーズを満たすために費用をかけた部屋となります。

つまり、「防音室を必要としない」人からすれば、その他の売り物件よりも「高い物件」とみなされてしまう訳です。もちろん、防音室付き物件を探している方もいらっしゃいますが、防音室の性能は利用目的に合わせて作られていますので、防音室の性能が合わないケースも考えられるのです。例えば、ピアノの演奏を目的に作られた防音室があっても、ドラムの演奏を考えている方からすると「性能が足らない防音室」とみなされてしまい、それなら防音室のない家を安く購入しリフォームでドラム用の防音室を作った方が良いと判断される可能性があるわけです。

このように、防音室は、家の価値を高めてくれますが、売却や賃貸を検討した時には、対象者の幅を狭めてしまう点がデメリットになります。

まとめ

今回は、これから新築住宅の購入を検討している方に向け、新築時に防音室を作った方が良いのかを判断するためのポイントなどについて解説しました。

防音室が必要かどうかは、日常生活の中で騒音になるような大きな音を出す可能性があるのかが最も重要です。例えば、楽器の演奏やカラオケなど、通常では考えられないレベルの大音量を出す可能性がある場合、近隣に迷惑をかけないよう防音室は必須だと考えられます。ただ、音が生じるにしても、飼っている犬の鳴き声や子供が騒ぐときに声などという場合、住んでから簡単な対策を施すことで対処することが可能なので、その他の設備に予算を使いたいという考えがあれば防音室は特に作らなくても良いのではないかと考えられます。

なお、防音室は、新築時点の生活を考えるだけでなく、将来のことも考慮して必要かどうかを考えておくのがおすすめです。例えば、「子供が大きくなったら楽器を習わせたい」と言った考えを持っているのであれば、新築時に防音室を作っておくのが良いでしょう。後からでもリフォームで防音室を作ることは可能ですが、新築時に工事を行ってもらう方が防音室部分にかかるコストはおさえられます。