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防音室を作るタイミングについて!防音工事を新築とリフォームで行う場合の違いをご紹介!

専門業者による防音工事で実現する防音室については、新築とリフォーム、どちらのタイミングで実現しても同じような防音室が作れると考えている方が多いです。もちろん、きちんとした防音に関する知識と技術を持った防音工事業者に施工を依頼すれば、お客様が希望する性能をもった防音室が出来上がる可能性が高いです。しかし、リフォーム工事で防音室を作る際には、もともとの建物構造や間取りの問題がありますので、新築時に防音室を用意する場合と比較すると、どうしても限界が生じてしまうことになります。

一般的に、防音工事と聞くと「既存の部屋をリフォームして防音室に仕上げる」と言った、リフォーム工事のイメージが強いと思います。しかし、防音室は、リフォーム工事で実現しなければならないものではなく、新築時に防音工事を行い、防音室を作っておくということも普通にできるのです。もちろん、新築でも建売住宅を購入するという方法であれば、「防音室付き建売住宅」を購入する以外はリフォームで防音室を用意するしかありませんが、注文住宅を建てる際には、設計段階で防音室を用意することができます。

それでは、新築で防音室を用意するのと、リフォームで防音室を作る、この二つのタイミングについて、出来上がる防音室にどのような違いが生じるのでしょうか?この記事では、防音室を作るタイミングの違いで生じるいくつかの注意点をご紹介します。

防音室は「作るタイミング」で仕上がりの『広さ』が変わる

防音室は、「部屋の中に部屋を作るイメージ」と説明される事が多いです。これは、楽器の演奏などにより発生した振動が、構造体を伝って拡散するのを防ぐため、壁や床、天井を二重にして既存構造体から浮かせる工夫がとられるからです。また、防音室は、高い吸音効果を実現するために、壁や床の中に分厚い断熱材が施工される場合が多いため、通常の居室と比較すると、各部材の厚みが増し、部屋全体が狭くなります。部屋の天井高についても、一般的な居室よりも低くなる可能性があるため、演奏する楽器の種類によっては、お客様から「天井高だけはある程度確保したい!」という要望を頂くケースがあります。

新築とリフォームで防音室を実現する場合、部屋の広さについて以下のような違いが生じるケースがあるので注意しましょう。

リフォームの場合、部屋の広さに限界がある

新築とリフォームで防音室を作る場合の一つ目の違いが、「リフォームは既存の部屋に防音対策を施す」という方法ですので、新築時と比較すると防音室の広さに限界が生じるという点です。

上述したように、防音室は、部屋の中に部屋を作るといった感じで、壁や床、天井が二重構造になる、さらに吸音効果をもたらすために構造体そのものの厚みが増します。つまり、リフォームで防音室を実現する場合、もともと存在する部屋に防音工事を施すことになるため、元の部屋が基準となるのでどうしても部屋の広さに限界が生じてしまう訳です。

例えば、一般的な居室の天井高は、2m30cm~2m40cm程度確保されているのが一般的なのですが、防音工事により床や天井が二重構造になることで、防音工事後は2m~2m15cm程度まで低くなります。さらに、壁については、四方の壁に防音工事を施すことになりますので、それなりの防音性能を発揮させる場合には約1.7㎡(1畳強)程度は部屋が狭くなってしまいます。一般的に、6畳程度の部屋をピアノ用の防音室にしたいという場合は、仕上がりが5畳前後の防音室になります。もともと6畳の部屋を8畳の防音室にするといったことは物理的に不可能なのです。

一方、新築時に防音室を作っておく場合、家の設計段階から防音室の計画をすることができるため、お客様が希望する広さ、天井高を確保した状態の防音室を作ることが可能です。注文住宅は、お客様の要望をうかがって、一から家の設計を行う訳ですので、防音室に関しても一般的な居室レベルの天井高を確保することも難しくありません。防音室の広さに関しては、敷地面積などの関係から、当然、限界はありますが、他の部屋の間取りなどを調整することで、可能な限り要望に近い防音室の広さを確保することも可能です。さらに、建築コストの負担は大きくなりますが、地下に防音室を設けるという選択をすれば、かなり広い防音室を用意することも難しくありません。

このように、防音室は、リフォームで実現する場合は、部屋の広さなどに制限が生じる可能性がある点に注意しましょう。なお、どうしても広さを確保したい場合には、2つの部屋を繋げる形で実現することで対処可能でしょう。

防音室は、「作るタイミング」で防音室の『使い勝手』が変わる

リフォームで防音室を実現する場合、防音室の使い勝手にちょっとした問題が生じてしまうリスクがあります。上述しているように、楽器防音レベルの本格的な防音室の場合、通常よりも壁の厚みがかなり増してしまう、天井高が低くなるといったケースが多いです。

そして、この特徴によりもともとの部屋の構造などを要因に、「ドアの開閉に問題が生じる」「防音室に長時間滞在すると圧迫感を感じる」などと言った問題が生じることがあると言われています。

リフォームの場合、使いにくい部分が出ることもある

リフォームによる防音室は、既存の部屋の防音性能を高めるために、さまざまな防音対策を施すという考えになります。

具体的には、壁や天井、床の防音性を高めるため、内部に吸音材や遮音材を設置するといった対策を行ったり、ドアや窓に対しては、防音性の高い建材に交換する、二重窓などにするといった対策が施されるのが一般的です。そして、こういった防音工事については、既存の部屋の構造そのものは変更することなく、各部分に可能な範囲の防音対策を施すことで防音性能を高めるといった手法が一般的です。
したがって、既存ドアが、通路の端っこに設けられているという場合、防音工事を施した後には、壁が分厚くなる分、ドアの可動域が狭くなり、出入りする時に不便に感じるようになるケースがあります。こういったことを防止するためには、防音工事の際にドアの位置を変更すれば良いのですが、その場合、防音工事以外の部分にコストがかかってしまいますので、防音工事にかかるコストそのものが高くなってしまいます。また、防音室の天井高についても、室内で生じさせる音の大きさを考慮して天井の対策が決められるため、「天井高は確保したい!」と考えていたとしても、それを実現することが難しい場合があるのです。

一方、新築時に防音室を作る場合、人の動線や使いやすさなども考慮したうえで防音室の設計をすることが可能です。例えば、屋外への音漏れだけでなく、家族間の防音も検討する場合、防音室を寝室などから離して作る、ドアの可動域などについては、出入りを不便に感じないように設置するといった対策は、当然可能です。もちろん、こういった対策を行うからと言って、別途費用がかかるようなこともありません。

つまり、新築の場合は、利用者が最も使いやすいと考える防音室を実現できる点がメリットになるでしょう。なお、既存の部屋の構造によっては、リフォームでも問題は生じないケースの方が多いです。

防音室は、「作るタイミング」によって『ネットワーク環境』に問題が出る?

防音室の利用用途によっては、インターネット環境の整備が必要になるケースがあります。例えば、動画配信用の防音室やスタジオ利用を目的とした防音室の場合、快適なネット環境の実現が必須です。ただ、この部分に関して、防音工事のタイミングによっては、問題が生じてしまうケースがあるのです。

リフォームの場合、ネット環境が悪化する可能性がある

これから自宅に防音室を作りたいと考えている方がおさえておきたいのは、防音室は、防音室を構成する材料の特性上、通常の部屋と比較すると、Wi-Fiなどの無線通信の回線状況がどうしても悪くなってしまいます。実際に、防音工事の施工実績が少ない業者に施工を依頼した場合、工事後にネット回線に不具合が生じるなどと言ったトラブルが発生するケースが少なくありません。工事後に、電波状況が悪くなった時には、電波を増幅する機器をプロバイダーなどからレンタルして対応できる場合もあるのですが、こういった機器を利用しても電波環境を改善できないケースがほとんどです。したがって、動画配信のための防音室など、快適なインターネット環境が必須という場合には、Wi-Fiを利用するのではなく、防音室内にまでLANケーブル引き回す工事が必要になると考えてください。ただ、もともとの建物の構造から、ケーブルの引き回しがスムーズにいかないケースがあり、こういった場合、無理矢理ケーブルを引き込む形になるので、高いお金をかけて防音工事をするのに、不満が残る…と言った感じになることもあります。

新築時に防音室を作る場合は、こういった配線の問題を気にする必要がありません。家の設計段階で、「防音室内でインターネットが必要」と設計者に伝えておけば、配線用に必要な設備をあらかじめ整えた状態で防音室を実現することができます。したがって、家が完成した後に、インターネットの業者と契約しても、配線などで問題が生じる心配がなく、快適なネット環境を実現できます。

近年では、動画配信者様などからの防音工事の依頼が多くなっていますが、こういった方は防音室内でも快適なネット環境が必須です。防音室が完成した後に、回線状況の問題に初めて気づく…なんてことになると、手直しに多額の費用がかかってしまうことになりかねません。したがって、防音室内でのネットの重要性については、工事業者にきちんと説明し、必要であれば、配線設備を整えてもらいましょう。

まとめ

今回は、防音室を作る二つのタイミングについて、新築時とリフォームでは、どのような違いが生じるのかについて解説しました。この記事でご紹介したように、リフォームで防音室を作るという方法は、既存の部屋に対して防音対策を施すという手法から、どうしても可能な対策や仕上がりの防音室に限界が生じてしまいます。分かりやすく言うと、もともと6畳の部屋を8畳の防音室にすることなど絶対にできないといった感じで、決められた条件の中で最大限の効果を発揮するようにするのがリフォーム工事です。

一方、新築時に防音室を作る場合、設計段階から防音室の計画を検討することができます。そのため、防音室の性能面だけでなく、防音室の使い勝手や広さなど、お客様の要望を全て叶えた防音室を作ることが可能な訳です。こう聞くと、防音室は新築の際に作らなければいけなのだ…と感じる方が多い事でしょう。ただ、この記事では、皆さんに分かりやすいように少し強調して問題点をご紹介していますので、そこまで心配する必要はありません。

防音工事に関して、正しい知識と高い技術を持った業者であれば、リフォームで防音室を作る場合でも、お客様の要望に可能な限り近づけるように対策を施してくれます。また、無理な要望があれば事前に教えてくれるので、無駄なコストをかける心配がないため、防音工事を行うことで損をするようなこともないでしょう。

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