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地下防音室付き住宅はあり?そもそも地下室を作るメリットは?

新築一戸建てを検討している方にとって、『地下室付きの住宅』はとても憧れるものではないでしょうか?

地下室は、単に居住スペースが広がるだけでなく、シアタールーム、カラオケルーム、自宅スタジオ、プライベートジムなど、高い防音機能を実現することができるため、アイディア次第で多彩な使い方を選ぶことができます。もちろん、地下室を作るにはそれなりのコストをかけなければいけませんが、普通の住宅では実現することができない、特別な空間を手に入れることができる点を、大きな魅力に感じる方が多いと思います。

そこでこの記事では、一般住宅に地下室を作る場合のメリットなどについて解説します。

地下室の定義について

『地下室』と聞くと、ほとんどの方が、文字通り「地面より下に作られた部屋」をイメージするのではないでしょうか。実際に、皆さんが持っているイメージは、ほぼほぼ正しいのですが、地下室に関するメリットについては、法律がらみのものが多くなるため、建築基準法が定めている地下室の定義を把握しておきましょう。

建築基準法上の地下室とは、厳密に言うと「地階にある部屋」の事を指しています。そして、地階の定義については、建築基準法施工令にて、以下のように記載されています。

地階 床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの三分の一以上のものをいう。
引用:建築基準法施行令

法律の条文は、表現がややこしいので、意味を理解しにくい方も多いかと思います。ただ、条文の中にある『地盤面』を地面と理解すれば、その意味が分かりやすくなると思います。要は、そのフロアが1/3以上地面に埋まっていれば、地階という判断になります。

地下室を居室として利用するための条件

地下室を居室として利用する場合には、いくつかの条件を満たしていなければいけません。以下に、地下室が居室として利用できるようにするための条件をご紹介します。

  • からぼりその他の空地に面する開口部が設けられていること。
  • 建築基準法が定める換気設備が設置されていること。
  • 居室内の湿度を調節する設備が設けられていること。
  • 外壁、床に適切な防水処理が施されていること。

建築基準法では、居室の条件として採光に関する項目も作られています。しかし、地下室に関しては、採光のための窓を設ける必要はないとされています。地下室の居室利用に関しては、建築基準法施行令の第1章第22条、第2章第28条に詳細な条件などが記載されていますので、ぜひ確認しておきましょう。

> 建築基準法施行令

地下室のメリットについて

地下室は、お金持ちの方が、趣味や酔狂で作るものというイメージが強いかもしれませんね。実際に、建築技術の関係などから、現在よりもかなりコストが高かったころは、一般の方が地下室などを設けるケースは非常に少なかったように思えます。
しかし近年では、比較的コストが抑えられるようになったこともあり、地下室に興味を持つ方が増えています。そしてそのような方の中には、防音室にするなどの趣味とは異なる理由をメリットに感じている方も多いようです。

ここでは、地下室を用意した時に得られるメリットについていくつかごしょうかいします。

メリット① 床面積の上限を3割以上増やせる

土地には『容積率』と呼ばれる、その土地の面積に対する「建物の延床面積(全フロアの合計面積)」の上限が定められています。

住宅を建てる際には、この容積率が問題になるケースがあります。特に、近年、都市部に建てられている住宅は、狭い土地を利用して3階建ての住宅を建築するケースが増えているのですが、その場合には容積率が大きなネックとなります。実は、土地の関係で、容積率ギリギリまでの家を建てたとしても、ゆとりある生活を送るためにはどうしても住空間が足りない…と言った事態に陥るケースが少なくないようです。

そして、このような容積率に問題がある時には、地下室を作るのが有効に働く場合があります。というのも、地下室は「その建物が住宅として使われており、かつ地階の天井が地面から1m以下の位置にある」という条件を満たしている場合、床面積の1/3までがカウントから除外されるという決まりが設けられています。
このルールがあることから、地下室を設けることで、本来よりも3割以上も容積率の緩和を受けられるというメリットが得られるのです。

メリット② 耐震性の向上が期待できる

地下室の二つ目のメリットは、一般的な住宅と比較した場合、地下室がある家の方が、耐震性に優れるというものです。

地震による建物の揺れは、地面よりも上で揺れるというイメージがあると思います。地面が揺れ、その揺れを追いかけるように建物が揺さぶられるといったイメージです。一方、地下室はというと、当然、地面に埋まっている部屋ですので、地面と一緒に揺れることになります。そして、この時には地下室の壁に接する地盤が、バネのように作用することで、揺れの影響を軽減してくれるといった制振作用まで働きます。

地下室は、コストはかかるものの、耐震性能向上と言った、建物そのものの性能まで高めてくれるというメリットが得られます。

メリット③ 高い防音性を保持する部屋が手に入る

地下室は、地面に埋まっています。そして、地下室の壁や床は、常時掛かる土の圧力に耐えられるような構造が必要ですので、非常に頑丈な作りになっています。そのため、意図しなくても、防音室のような機能を兼ね備えた部屋が出来上がるのです。

したがって、地下室を設けることで、シアタールームやダンスフロア、カラオケや楽器演奏を楽しむためのプレイルームを手に入れる事ができます。注意が必要なのは、何の対策もしなければ、室内の音響環境に問題が生じる場合があるので、防音室として使用するために地下室を設ける場合には、専門の防音工事業者に防音室の設計をしてもらう必要があります。

メリット④ 気温・湿度が安定した過ごしやすい部屋が手に入る

上述したように、地下室は建築基準法で調湿・換気のための設備の設置が義務付けられています。

地下室は、一般の居室と比較すると、室温の変化が少ないという特徴があります。そして、調湿・換気設備を設置することで、湿度の変化も少ない環境を作ることができます。こういった部屋は、ワインセラーや食料を保管する場所として非常に優れていますので、地下室を優秀な食糧庫として利用できる点がメリットになるでしょう。

メリット⑤ 万一の際にはシェルターとして利用できる

地下室は、非常に頑丈な作りになっている、食料保管庫としての機能に優れているといった特徴から、万一の際にはシェルターとして活用できる点もメリットの一つです。

現在の日本人にとっては、紛争などのイメージがつかない方の方が多いと思います。しかし、世界を見渡してみると、永世中立国であるスイスなどは、国民に自宅に核シェルターを設置することを推奨しています。さらに、一定の条件を満たすことで、シェルターの設置に補助金が支出される決まりになっているそうです。

もちろん、将来的にも、このような用途で地下室を使いたくはないですが、地震などの災害時に避難できるシェルターや食料保管庫と考えると、非常に有効な設備になるのではないでしょうか?

地下室のデメリットについて

ここまでの説明で分かるように、地下室を設けることは、防音効果以外にも、さまざまなメリットが得られます。特に、都市部に増えている、狭い土地の戸建て住宅の事を考えると、容積率の緩和というメリットは非常に大きいと考えられます。

ただ注意しておきたいのは、地下室を作る場合にもいくつかのデメリットは存在します。

デメリット① 建築コストが高くなる

地下室の最大のデメリットは、住宅の建築コストが高くなってしまう点でしょう。

地下室を作ると、地下室が無い場合と比較して、約3割も床面積を増やすことができる点がメリットと紹介しました。しかし、床面積を増やすためのコストについては、5割以上のコストアップになることもあるなど、割合的にはデメリットの方が大きくなってしまいます。

地下室は、一般の居室と異なり、重機で穴を掘り下げ、さらに地盤が崩れないように補強する、出てきた土を処分する、土の圧力に耐えられるような頑丈な壁を作るなど、かなりの規模の工事を行わなければいけません。さらに、出来上がった地下室には、換気や調湿のための設備の設置が義務付けられていますので、さらなるコストがかかってしまうことになります。

地下室を作らなければ、満足のいく床面積が確保できない…という場合であれば、コストをかける価値があるかもしれませんが、「別に地下室は無くても良い」という状況なら、かかるコストが大きすぎる可能性が高いです。一般的にですが、地下室の坪単価は50〜200万円程度になるといわれています。

デメリット② 土地を選ばなければいけない

地下室は、どんな土地でも作れるわけではありません。例えば、住宅の建設予定地の下に水脈があり、少し深く穴を掘ると浸水するような土地であると、地下室を作ることができません。また、区画整理などで、周辺道路の拡張計画などがある土地の場合、コンクリートの打設に制限が設けられている可能性があり、このような土地にも地下室を作ることが出来ません。後は、既に隣接する土地に家が建っていて、隣の敷地や建物から距離が離れていない場合も、相手方の家に影響を与えてしまう可能性があるため、施工が不可能と判断されることもあります。

このように、地下室は、住人さんが作りたいと考えていても、さまざまな条件をクリアしていなければ、お金があっても作ることができない場合があります。したがって、地下室を持つ住宅を建てたいと考える場合、日常生活の利便性や住みやすさで土地を選ぶだけでなく、地下室が作れるかどうかも土地探しの条件に関わってくる点がデメリットと言えるでしょう。

まとめ

今回は、新築住宅の購入を検討している方に向け、自宅に地下室を設ける場合のメリットなどをご紹介しました。この記事でご紹介したように、地下室は、容積率の緩和を受けることができる、耐震性の向上が見込める、防音性の高い部屋が手に入るなど、非常に多くメリットが存在します。もちろん、家を建てるための建築コストは高くなってしまいますが、「絶対に音漏れしない防音室が欲しい」「ゆったりと過ごせるホームシアターが欲しい」「24時間カラオケを楽しみたい」と言った要望を持っている方にとっては、コストをかけるだけのメリットがあると思います。

注意が必要なのは、地下室を作りたい場合には、土地探しの段階から注意しなければならない点です。地下室が作れる土地は限られていますので、日常生活の利便性を犠牲にしなければならない場合もあるので、その辺りは慎重に検討する必要があるでしょう。

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