宅録でノイズを減らすには?遮音・吸音・音響の基本知識

■なぜ宅録にはノイズが入りやすいのか?
自宅で録音、いわゆる「宅録」をしていると、必ずといっていいほど悩まされるのがノイズの問題です。せっかく上手く演奏できたのに、あとで聞き返すと「サーッ」という空気のような音が入っていたり、隣の部屋の物音、車の通過音、エアコンの低音など、思いもよらない音が録音されてしまっていたという経験は、多くの人が一度はしていることでしょう。
こうしたノイズの多くは、宅録という「音響的に整っていない空間」で録音することから来ています。プロのスタジオであれば、遮音・吸音・反響処理が施された最適な環境ですが、自宅はそもそも音楽録音のために設計されていません。壁が薄い、窓が多い、床や天井が音を反射する素材でできている、冷蔵庫や換気扇の音が響いているなど、ノイズが発生しやすい条件が揃っているのです。
また、マイクの選び方や設置の仕方、インターフェースやケーブルといった機材周りの問題も、ノイズの原因になります。たとえば、感度の高いコンデンサーマイクは、繊細な音を録れる一方で、外の騒音や環境音も拾いやすくなります。つまり、宅録におけるノイズ対策は「部屋の環境」と「機材の管理」の両面から取り組む必要があります。
本記事では、宅録のノイズを減らすために知っておきたい、遮音・吸音・音響の基礎知識を中心に、自宅でも実践できる具体的な対策を紹介していきます。
■ノイズの原因を知る──遮音と吸音の違いと役割
ノイズ対策の第一歩は、「どこから、どんな音が入ってきているのか?」を把握することです。そしてそれに対して、正しく「遮音」と「吸音」を使い分けることが重要になります。
遮音とは、外からの音を部屋の中に入れない、または部屋の音を外に漏らさないための対策です。たとえば、外の車の音や、隣人の話し声、上階の足音などは遮音によって防ぐ必要があります。これらは主に「壁」「窓」「ドア」「天井」などから伝わってくるため、物理的なバリアである遮音材(石膏ボード、遮音シートなど)を使って対処する必要があります。
一方、吸音とは、部屋の中で反響する音を吸収し、録音に余計な響きや残響が入るのを防ぐためのものです。録音中に「自分の声やギターの音が響きすぎる」と感じたら、それは吸音の問題です。吸音には、ウレタンスポンジやグラスウール、吸音パネルなどが効果的です。壁や天井に取り付けることで、音が跳ね返るのを防ぎ、クリアでタイトな音を録ることができます。
このように、遮音と吸音は目的も素材も違います。遮音は「外部との音のやりとりを遮断」、吸音は「室内での音の反射を抑える」。これらを混同すると、せっかくの対策も無駄になってしまいます。たとえば、隣の部屋に音が漏れるのを防ぎたいのに、吸音材だけ貼っても効果はほとんどありません。逆に、録音の響きを整えたいのに遮音材ばかり使っても、反射音はなくなりません。
宅録では、この二つをうまく組み合わせて、外部からのノイズを遮断しつつ、室内の音響環境を整えることが求められるのです。
■宅録で使える遮音・吸音の具体的な対策と工夫
では、実際に宅録環境でどのように遮音と吸音の対策をすれば良いのでしょうか。まず遮音についてですが、自宅における完全な遮音は正直かなり難しいのが現実です。壁を壊して中に遮音材を入れる、二重窓にする、床に浮き構造を設けるといった大掛かりな工事が必要になるからです。
ただし、完全遮音は難しくても、「ある程度の遮音効果を得る」ことは可能です。たとえば、ドアの隙間に防音テープを貼ったり、窓に厚手の防音カーテンを取り付けたり、換気口を塞いだりするだけでも、外からの音の侵入や音漏れをかなり軽減できます。また、部屋の中に吸音パネル付きの簡易ブースを設置すれば、周囲の音からある程度隔離された録音空間を作ることができます。
次に吸音ですが、こちらは比較的DIYでも導入しやすいです。市販されている吸音パネルやフォームを壁や天井に貼るだけでも、部屋の響きは大きく変わります。特に録音時にマイクの前方や背後に吸音材を配置すると、反射音の侵入を防ぎやすくなります。
また、部屋の形状や家具の配置も吸音効果に関係します。何もない四角い部屋は音が跳ね返りやすく、残響が強くなりますが、本棚やカーテン、ラグマットなどを配置することで、音の反射を抑え、響きを柔らかくすることができます。家具自体が「吸音材」として働くわけです。
注意点として、吸音材を貼りすぎると「音がこもる」「デッドになりすぎる」と感じる場合があります。そのため、部屋の四隅やマイクの周辺など、ポイントを絞って配置するのが効果的です。
このように、宅録の遮音・吸音対策は、完全な施工ではなくても「環境を改善する工夫」によって、録音の質を大きく向上させることができます。
■音響設計の視点で考える、宅録環境の最適化
宅録において、遮音・吸音という「物理的な対策」に加えて重要なのが、「音響設計」の視点です。音響設計とは、録音する音がどのように空間で伝わり、どのようにマイクに収まるかを考えることです。つまり、「録音される音の質」を意識的にコントロールするための工夫です。
たとえば、マイクの位置や角度を少し変えるだけで、入ってくるノイズの量や音質は大きく変わります。部屋の中心よりも壁から少し離した位置にマイクを置く、反響の強い方向に背を向けるように歌う、などの小さな工夫が、録音の質を左右します。
また、録音する音源(ボーカル、ギターなど)ごとに「どんな音を録りたいか」を明確にすることで、吸音と反響のバランスを調整できます。ボーカルは反響を少なく、できるだけ乾いた音を録りたいですが、アコースティックギターは適度な部屋鳴りがあるほうが自然に聴こえることもあります。このように、楽器や用途に応じて、吸音の量や位置を調整することが重要です。
さらに、DAW(音楽制作ソフト)でのノイズ除去処理も重要な要素です。iZotopeのRXシリーズなど、高性能なノイズリダクションソフトを使えば、録音後の不要なノイズ(環境音、リップノイズ、マイクノイズなど)をかなり自然に除去できます。ただし、音質を劣化させないためには、録音段階でできるだけ「きれいな素材」を録ることが前提になります。
宅録環境は、プロのスタジオほど完璧にはできませんが、ちょっとした工夫と知識の積み重ねによって、驚くほどクオリティの高い録音が可能になります。そのためには、遮音・吸音・音響設計という3つの視点をバランス良く取り入れていくことが重要なのです。
宅録でノイズを減らすには、遮音と吸音の違いを理解し、それぞれの役割を踏まえた上で、自宅環境に合った工夫を取り入れることが大切です。そして、ただ「静かな部屋を作る」だけでなく、「どうすれば録りたい音をきれいに収音できるか?」という視点で音響を設計していくことで、宅録は格段に快適で楽しいものになります。
音を扱うということは、空間を扱うことです。そして、空間を扱うには知識と実験が欠かせません。音の特性を理解し、自分の環境を客観的に観察し、試行錯誤を楽しむ──。そのプロセスの中で、あなたの宅録は確実に進化していきます。
参考:https://jp.yamaha.com/products/contents/streaming/special_steinberg/index.html
■自宅で本格的な録音環境を手に入れるなら防音室も検討
さて、ここまで宅録の際のノイズ問題についてお伝えしてきましたが、より本格的な録音環境が欲しいという場合には、自宅に防音室の導入を検討するのも一つの方法です。
とくに、本格的にプロとして活動する、などと言った場合、時間を気にせずベストな環境で収録ができる防音室が自宅にあるというのは大きなメリットとなります。
もちろん設置にはそれ相応のコストがかかりますが、防音室を設置することで、心置きなく収録に集中できる自分だけの空間を実現することができます!
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