吸音と遮音の違いとは?

■そもそも「防音」ってどういうこと?
「防音」という言葉は、日常的によく使われますが、実際には複数の要素が組み合わさって成り立っている言葉です。たとえば、楽器の音が隣の部屋や外に漏れないようにしたい、外の騒音が部屋の中に入ってこないようにしたい、といったニーズがありますが、これらすべてが「防音」と呼ばれます。
しかし、その「防音」を構成する要素には大きく分けて2つあります。それが「吸音(きゅうおん)」と「遮音(しゃおん)」です。この2つは似ているようで、役割も性質もまったく異なります。そして多くの人がここで混乱し、間違った対策をしてしまいがちです。
たとえば、室内の反響音を抑えたいだけなのに遮音材を使ってしまったり、隣の部屋に音を漏らしたくないのに吸音パネルを貼って満足してしまったりするのは、よくある話です。正しく理解すれば、自分の目的に応じて最適な防音対策ができるようになります。
では、吸音と遮音は具体的にどのように違うのでしょうか。この章では、それぞれの定義と性質を整理しながら、違いを明確にしていきましょう。
■吸音とは何か?──音を「吸収」して消す技術
吸音とは、音のエネルギーを素材の中に取り込み、拡散や反射を抑えることです。たとえば、木造の部屋で手を叩いたときに「パーン」と反響する音があるのに対して、カーテンやカーペットを敷いた部屋では音がやや丸く、響きが抑えられて感じられることがあります。これはまさに、布や繊維が「吸音」している証拠です。
吸音材の主な目的は、音の「反響」や「こもり」を抑えて、室内音響を整えることです。音が室内で跳ね返ることによって生じる「残響」や「エコー」、あるいは複雑な反射によって音が濁って聞こえる「フラッターエコー」など、音の聴こえ方に関する問題を改善するために使われます。
代表的な吸音素材としては、以下のようなものがあります。
・グラスウール(ガラス繊維)
・ウレタンスポンジ
・吸音フォーム(ピラミッド型・ウェーブ型など)
・ポリエステル繊維ボード
・天井用の吸音パネル
参考: https://www.sonorize.jp/kyuuonzai
これらに共通しているのは、「多孔質」であること。つまり、微細な空気の通り道(細かい穴や隙間)を持っていて、そこに音波が入ることでエネルギーが内部で摩擦熱に変換され、音としての振動が消される仕組みになっています。
吸音は「静かにする」のではなく、「響きを抑える」技術だということが重要です。つまり、音を部屋の外に出さないためのものではなく、部屋の中の音質を良くするためのものです。録音スタジオや音楽練習室などで吸音が重要視されるのはこのためです。
たとえば、宅録で歌を録る場合、壁の反射音が入り込むと録音に濁りやノイズが混ざってしまいます。そうした余分な反射音を抑えるために、吸音パネルを使うわけです。
しかし吸音材は、音を「外に漏れにくくする」ものではありません。たとえ壁一面に吸音パネルを貼ったとしても、その向こうの部屋には普通に音が伝わります。これは、吸音材が空気中の音波には効いても、壁を振動させるような強い音(構造伝播音)を止める力がないためです。
■遮音とは何か?──音の「通過」を止める技術
遮音とは、音を反射させることで向こう側に通さないようにする技術です。言い換えれば、「壁を音が通過するのを防ぐ」という役割を果たします。
たとえば、鉄筋コンクリートの分厚い壁があるマンションでは、隣の部屋の音があまり聞こえませんよね。それは、壁の「質量」が高いため、音を跳ね返し、伝えにくくしているからです。遮音とは、まさにこの「音を通さない壁をつくること」です。
遮音性能を高めるには、主に次のような方法があります。
・壁や床を厚く・重くする(質量則)
・音を通しにくい素材を使う(鉛シート、遮音シート、石膏ボード)
・二重構造にして隙間をなくす(浮き床、二重壁)
・密閉性を高める(ドアや窓のパッキン)
遮音の考え方には「質量則」という物理法則が存在します。これは、「重くて密なものほど音を通さない」というもので、たとえば壁の厚さを2倍にすれば、おおよそ6dB(音圧が半分以下)ほど遮音性能が上がると言われています。
そのため、本格的な防音工事では石膏ボードを何層にも重ねたり、鉛シートを挟んだりして、壁全体を“音のバリア”のように作り変える必要があります。
しかし、遮音には吸音と違って「音質を整える」という効果はありません。遮音材を使った空間は、むしろ音が反響しやすく、音質が悪くなってしまうこともあります。なぜなら、遮音材は音を反射する力は強くても、吸収する力がないからです。
このため、遮音性能を高める空間には、必ず吸音材も併用されるのが一般的です。たとえば、映画館や録音スタジオでは、外に音が漏れないように遮音構造を施しつつ、内部には反響を抑える吸音材をバランスよく配置して、快適な音響空間を作り上げています。
つまり、遮音は「音を漏らさない」「音を入れない」技術であり、防音の“壁”の部分を担う存在です。
■吸音と遮音、どちらを選ぶべきか?目的別の使い分け
ここまでで、吸音と遮音の性質の違いはかなり明確になってきたと思います。しかし、実際に自宅やスタジオで防音対策をしたいと考えたときに、どちらを使えばよいのか迷う方も多いはずです。
結論から言えば、「音をどうしたいか」によって使い分けるのが正解です。
たとえば、
・室内で音の響きを良くしたい(録音、配信、映画視聴など)→ 吸音
・隣の部屋や外への音漏れを防ぎたい → 遮音
・外の騒音(車、工事、声など)を室内に入れたくない → 遮音
・室内の話し声や雑音が反響してうるさい → 吸音
というように、目的によって対策が変わってきます。
よくある失敗例として、「防音したいから吸音材をたくさん貼る」というケースがあります。しかし、いくら壁にスポンジやウレタンを貼っても、それは「音質」を改善しているだけで、音漏れはほとんど変わりません。逆に、遮音材だけで部屋を囲んでも、中が反響だらけで会話すら聞きづらくなってしまうことがあります。
最も効果的なのは、遮音と吸音を組み合わせて使うことです。たとえば、遮音性の高い壁や扉を設置したうえで、内部には吸音パネルを適度に配置する。これによって、外への音漏れを防ぎながら、室内の音響も整えられる“快適な防音空間”が実現します。
市販の防音室や録音ブースでも、この考え方が基本になっています。完全密閉に近い遮音構造と、内装に配置された吸音フォームやファブリック材が、音の「漏れ」と「響き」の両方を同時に解決してくれるのです。
また、DIYで対応する場合でも、遮音シートと吸音材を組み合わせた「防音カーテン」や「防音パネル」が市販されています。これらを使えば、簡易的ながらも効果的な防音対策が可能になります。
吸音と遮音は、防音にとって欠かせない2つの技術ですが、その目的や性質はまったく異なります。吸音は音の響きを整える、遮音は音の通過を防ぐ。この違いをきちんと理解することが、効果的な防音環境をつくる第一歩です。
防音の失敗は、誤解から始まることが多いです。「吸音材を貼れば音漏れしない」「重い素材を使えば室内の音も良くなる」といった誤解を避けるには、目的に応じて素材と工法をきちんと選ぶ知識が必要です。
音楽を楽しむ人、在宅ワークに集中したい人、騒音問題に悩む人、録音や配信をしている人──どんな目的であっても、自分が「何をしたいのか(音をどうしたいのか)」を明確にして、それに合った手段を取ることで、日々の暮らしや創作がもっと快適なものになるはずです。
■快適な音環境を手に入れるなら、プロによる「防音工事」が最も効果的
用途に応じて、適切な吸音や遮音を行った環境を手に入れるのであれば、プロによる防音工事が最もおすすめです。
防音工事では、部屋を丸ごと防音室にするような大規模なものから、吸音材などの施工、窓を二重サッシに変更するなど部分的なものまであります。
どこから聞こえるどのような音に対して対策するかによって、必要な工事の内容は変わってくるため、まずは防音工事の専門業者に相談して提案を受けるのが良いでしょう。
施工業者は、「防音工事専門」の実績豊富な会社を選ぶのが基本です。建築音響の知識がない業者に依頼すると、思ったほどの効果が得られない場合があるので、注意が必要です。
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