楽器を習い始めたときは、「まずは無理なく続けられればいい」と考えていたのに、練習を続けるうちに少しずつ本気度が高まっていくことがあります。
子どもなら、レッスンを重ねるうちに「もっと上手になりたい」「発表会やコンクールに挑戦したい」と思うようになるかもしれません。
大人でも、「趣味として始めたピアノが楽しくなってきた」「昔やっていた楽器をもう一度本格的に練習したい」「定年後の趣味として音楽をじっくり楽しみたい」と、最初より練習時間が増えていくケースがあります。
そこで問題になりやすいのが、自宅での「音」です。
練習時間が短いうちは、それほど気にならなかった音も、毎日練習するようになったり、1回あたりの練習時間が長くなったりすると、家族や近隣への影響を考える必要が出てきます。
特に、仕事や学校などで日中に練習できない場合は、帰宅後の夕方から夜に練習することになります。
「もっと練習したいけれど、もう遅い時間だからやめておこう」
「家族がテレビを見ているから、今日は練習しないでおこう」
「隣の家に聞こえていないか気になって集中できない」
このような状態では、せっかく始めた楽器を思うように楽しめません。
本格的に楽器へ取り組むのであれば、練習量だけでなく、安心して音を出せる環境をどうつくるかについても考えることが大切です。
今回は、子どもから大人まで、楽器の練習時間が増えてきたときに考えたい音環境と、防音工事を検討する際のポイントについて解説します。
■練習時間が増えると、自宅の「音」が気になってくる

始めたばかりの頃は問題にならなくても
楽器を始めたばかりの頃は、それほど長時間練習しないことも多いでしょう。
例えば、ピアノを習い始めた子どもなら、毎日20~30分程度からスタートすることがあります。
大人が趣味でピアノやバイオリンを始める場合も、仕事や家庭との両立を考えながら、空いた時間に少しずつ練習するケースが多いでしょう。
この段階では、
「これくらいなら音も大丈夫だろう」
と感じるかもしれません。
しかし、楽器は上達するほど、練習したいことが増えていきます。
最初は簡単な曲を通して弾くだけだったのが、次第に苦手な部分を繰り返したり、細かな表現を練習したりするようになります。
「30分では足りない」
「今日は1時間くらい練習したい」
と感じるようになれば、当然、自宅から音が出ている時間も長くなります。
「上手くなりたい」が音の問題を大きくすることも
楽器の練習では、同じフレーズを何度も繰り返すことがあります。
演奏している本人にとっては必要な練習でも、家族や近隣の人にとっては、同じ音が繰り返し聞こえることになります。
特に本格的に練習するようになると、単に曲を最後まで演奏するだけではありません。
テンポを変えてみる。
苦手な部分だけを繰り返す。
強弱を確認する。
音の出し方を調整する。
こうした練習には、ある程度の時間が必要です。
つまり、楽器が上達すること自体が、自宅の音環境を見直すきっかけになることがあります。
大人は「練習できる時間帯」が限られやすい
大人の場合、特に問題になりやすいのが練習時間帯です。
仕事が終わって帰宅するのが18時や19時。
食事や家事などを済ませ、ようやく自分の時間が取れるのが20時以降。
そこから楽器を練習したいと思っても、「この時間に演奏して大丈夫だろうか」と気になることがあります。
休日なら昼間に練習できますが、平日にも練習したい人にとっては、それだけでは十分ではないでしょう。
また、在宅勤務をしている人や、自宅で仕事をする時間が長い人の場合は、仕事と練習の時間を同じ家の中で調整する必要があります。
趣味であっても、本格的に取り組めば練習環境は重要になってきます。
■本格的な練習には「音を気にせず集中できる環境」が必要

練習時間を確保しても、集中できなければもったいない
楽器の練習では、単純に時間を確保するだけではなく、その時間をどのように使うかも重要です。
例えば1時間練習できる時間があったとしても、
「音が大きくないかな」
「隣に聞こえていないかな」
「家族の邪魔になっていないかな」
と気にしながら演奏していれば、練習そのものに集中しにくくなります。
特に本格的な練習では、自分が出している音をしっかり確認する必要があります。
音量を抑えることばかり考えてしまうと、本来の演奏とは違う弾き方になってしまうこともあります。
もちろん、住宅環境に合わせて音量や時間帯に配慮することは大切です。
そのうえで、できるだけ音を気にせず練習できる環境を用意するという考え方があります。
「練習できる時間」と「音を出せる時間」は違う
自宅での楽器練習では、この二つを分けて考える必要があります。
本人にとって練習できる時間が、必ずしも住宅環境として音を出しやすい時間とは限りません。
例えば、大人なら平日の夜。
子どもなら学校や部活動、ほかの習い事を終えた後。
生活スタイルによっては、楽器を練習できる時間が夜に集中します。
「昼間なら練習できるのに」というだけでは解決できないケースもあります。
だからこそ、防音について考えるときは「何時間練習するか」だけではなく、何時に練習するのかも重要なポイントになります。
防音室は「夜遅くまで演奏するため」だけではない
防音室と聞くと、「夜でも楽器を演奏するための部屋」というイメージがあるかもしれません。
しかし、防音室の役割はそれだけではありません。
周囲への音漏れを抑え、演奏する人が音を気にせず練習しやすい環境をつくることも、大きな目的です。
例えば、休日の昼間であっても、隣家との距離が近ければ音が気になることがあります。
家族が同じ家の中で仕事や勉強をしている場合には、昼間でも音が問題になることがあります。
つまり、防音は「夜間対策」というだけではなく、自宅で安心して音楽に向き合うための環境づくりとして考えることができます。
本気で続けるなら「音を出せる場所」を確保する
楽器に本格的に取り組む人にとって、練習場所は非常に重要です。
例えば、スポーツを本格的に続けるなら、トレーニングできる場所や道具を整えるでしょう。
同じように、音楽を本格的に続けるのであれば、楽器を練習する環境について考えることにも意味があります。
防音室があることで、
「今日は音が気になるからやめておこう」
ではなく、
「この時間は練習に集中しよう」
と切り替えやすくなります。
防音室は、単に音を閉じ込めるための部屋ではなく、趣味や習い事に集中するための専用空間としても考えられるのです。
■防音工事は「楽器の種類」と「使い方」の両方から考える

楽器によって必要な対策は異なる
防音工事を考える際、「ピアノだからこの防音」「バイオリンだからこの防音」と、楽器の種類だけで判断することはできません。
もちろん、楽器によって音の特性は異なります。
しかし、それ以上に重要なのが、どのように使用するかです。
例えば、同じピアノでも、
「週末に30分程度楽しむ」
「毎日1~2時間練習する」
「コンクールに向けて長時間練習する」
では、求める環境が変わってきます。
大人が趣味として楽しむ場合でも、毎日欠かさず練習する人と、週末だけ演奏する人では条件が違います。
そのため、防音工事を検討するときは、楽器の種類だけではなく、実際の使い方を具体的に伝えることが重要です。
ピアノなら「誰が・いつ・どのくらい弾くのか」
ピアノを例にすると、考えておきたいのは、
「誰が演奏するのか」
「どのくらいの頻度で練習するのか」
「何時ごろに演奏するのか」
「どの程度本格的に取り組むのか」
といった点です。
子どもの練習なら、学校から帰ってきて夕方に弾くことが多いかもしれません。
大人なら、仕事から帰った後や休日が中心になるでしょう。
また、趣味から始めて、徐々に本格的になっている場合もあります。
こうした情報を施工業者に伝えることで、自分の生活に合った防音環境を考えやすくなります。
バイオリンや管楽器も「練習時間」がポイントになる
バイオリンなどの弦楽器や管楽器も、継続して練習するのであれば音環境について考えておきたい楽器です。
特に、上達するためには同じ部分を繰り返し練習することがあります。
「少し音を出して終わり」ではなく、毎日一定時間練習するようになると、音の問題がより現実的になります。
また、楽器によっては空気を伝わる音だけでなく、床や壁などを通して伝わる振動についても考える必要があります。
どこまで対策が必要なのかは、住宅の構造や使用する楽器などによって異なるため、専門家に相談することが大切です。
防音と室内の音響は別の問題
本格的に音楽を楽しむなら、外への音漏れだけでなく、部屋の中での音の聞こえ方も考えておきたいところです。
防音は、基本的に音が外部へ伝わるのを抑えるためのものです。
一方、音響は室内で音がどのように響くかという問題です。
例えば、音が響きすぎる部屋では、自分が出している音を正確に確認しにくい場合があります。
逆に、吸音しすぎれば、演奏しているときの響き方が変わることもあります。
さらに、録音や動画撮影などを行う場合には、室内の音響環境も重要になります。
防音室を作るのであれば、「音を漏らさない」だけでなく、どんな音環境で練習したいのかまで考えておくとよいでしょう。
■本格的な楽器練習を続けるなら、防音工事を早めに相談する

「苦情が出てから」ではなく、困る前に考える
防音工事について考えるタイミングに、決まった正解があるわけではありません。
楽器を始めたばかりで、まだ練習時間が短いのであれば、まずは通常の部屋で様子を見るという選択もあります。
しかし、
「練習時間が増えてきた」
「もっと練習したい」
「夜にも練習したい」
「家族への音が気になる」
「近隣への音漏れが心配」
という状態になったのであれば、一度専門業者に相談してみるとよいでしょう。
特に、音の問題がすでに発生している場合には、我慢して練習時間を減らし続けるより、住宅の状況に合わせた対策を考えることが大切です。
「防音室が必要か分からない」という段階でもいい
防音工事を検討するときに、
「まだ防音室を作るほどではない」
と思うこともあるでしょう。
しかし、相談したからといって、必ず工事をしなければならないわけではありません。
現在の住宅環境や楽器の種類、練習時間などを踏まえて、どの程度の防音が必要なのかを確認することも相談の目的です。
場合によっては、工事をするほどではないという判断になるかもしれません。
反対に、思っていた以上に音の問題が大きく、本格的な対策を検討したほうがよいと分かるかもしれません。
大切なのは、自己判断だけで決めないことです。
防音工事をするなら、実際の使い方を細かく伝える
防音工事を依頼することになった場合は、施工業者にできるだけ具体的に使用方法を伝えましょう。
例えば、
「毎日1時間程度使う」
「平日は20時以降に練習する」
「休日は数時間続けて使う」
「子どもがピアノの練習に使う」
「大人が趣味でバイオリンを練習する」
「録音もしたい」
などです。
同じ「楽器練習用の防音室」でも、使い方によって考えるべきポイントは変わります。
さらに、エアコンや換気設備、楽器の配置、収納など、快適に使うための設備についても検討する必要があります。
せっかく防音室を作るのであれば、実際に長時間使える部屋にすることが大切です。
本格的な趣味には「続けられる環境」が必要
大人でも子どもでも、楽器を始めたときには「これほど本格的に続けるとは思わなかった」ということがあります。
最初は趣味だったものが、練習するほど楽しくなり、もっと上手くなりたいと思うようになる。
レッスンに通う回数が増えたり、自宅での練習時間が増えたりする。
こうした変化が起きたときに、練習環境が追いついているかどうかは重要です。
「音が気になるから練習できない」という理由で、せっかくの趣味を諦める必要はありません。
本格的に取り組むのであれば、楽器やレッスンだけでなく、自宅で継続して練習できる環境そのものを整えるという選択肢があります。
まとめ|練習時間が増えたら、楽器だけでなく「音環境」も見直そう
楽器を始めたばかりの頃は、短時間の練習でも十分かもしれません。
しかし、続けていくうちに「もっと上手くなりたい」「もっと練習したい」と思うようになれば、自然と練習時間は増えていきます。
それは子どもの習い事だけではありません。
大人が趣味として始めた楽器でも、練習を重ねるうちに本格的に取り組むようになることがあります。
そこで問題になりやすいのが、自宅での音環境です。
特に大人の場合は、仕事などの都合で夜にしか練習できないことがあります。
子どもでも、学校やほかの習い事を終えてから練習するとなれば、夕方以降に集中するでしょう。
「練習したい時間」と「音を出しやすい時間」が合わないと、練習そのものを制限することになってしまいます。
また、近隣だけでなく、家族への音も考えなければなりません。
本格的に楽器へ取り組むのであれば、練習時間を増やすことだけを考えるのではなく、安心して音を出し、集中して練習できる環境をつくることも大切です。
その方法の一つが、防音工事です。
防音工事を検討するときは、楽器の種類だけで判断するのではなく、
- どのくらいの頻度で練習するのか
- 1回あたりどのくらい練習するのか
- 何時ごろに練習するのか
- 誰が使うのか
- どのような練習をするのか
といった実際の使用方法を整理しておきましょう。
「まだ防音室が必要か分からない」という段階でも、専門業者への相談は可能です。
練習量が増えて、「音が気になって思うように練習できない」と感じ始めたら、それは自宅の音環境を見直すタイミングかもしれません。
楽器を続けるうえで大切なのは、良い楽器を選ぶことや、良い先生に習うことだけではありません。
自分が納得できるまで練習できる場所をつくることも、楽器を本格的に楽しむための大切な環境づくりです。
子どもであっても、大人であっても、「もっと練習したい」という気持ちが生まれたときには、その気持ちを支えられる音環境について考えてみてはいかがでしょうか。
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